「ツラい状況だからこそ"Smile"を」
チャップリンの傑作。
監督、脚本、主演のみならず作曲までチャップリンが担当という驚き。
最近では「ジョーカー」にも影響を与え、本作が劇中内で富豪たちが鑑賞しているという形で登場している。
内容としてはチャップリンが仕事を転々としながらそれぞれの場所でドタバタと上手くいかない様子を描き笑えるコメディになっている。
ただジョーカーでも引用されたチャップリン「人生はクロースアップで見ると悲劇だけと、ロングショットで見ると喜劇だ」という言葉のように客観的に観ていれば喜劇だが、彼や社会の置かれている環境は
工場で機械やまるで歯車の一部として働いて精神を病んでしまったり、労働者のデモのリーダーと間違われて逮捕されたり、その後も仕事を求め何度も職を転々とする。
1930年頃の搾取される労働者達という社会状況が背景として色濃く反映されています。
ただそんなツラい状況な時でも愛する女性に出会い、家を持つという「幸せ」の形を提示している。そんな前向きなシーンに流れる「Smile」が実に名曲です。
ほぼ無声映画でセリフはないが、終盤ではチャップリン自身が作品で初めて肉声を歌った「ティナティナ」もまた名曲で、ダンスまで披露しており、作曲に歌や踊りまでできるという多彩ぶりにはさすが喜劇王と思わせてくれます!
笑いや社会風刺のバランスのよいさすがの傑作でした。
そして当時と同様、現代の今もツラい状況ですがそんな時こそ"Smile"を忘れてはいけないなと思い出させてくれました。