プペ

ホワット・ライズ・ビニースのプペのレビュー・感想・評価

2.7
娘を進学で一人立ちさせ、夫は仕事の虫。その孤独感に苛まれる妻クレアをミシェル・ファイファーが演じる。
夫役はハリソン・フォードだ。

娘の独立で急に生活スタイルが変わった妻クレアの前に、次々と心霊現象が起こる。
果たしてその心霊現象の原因は何か、あるいは自分の気のせいなのか、クレアは謎を追っていく事になる。
その謎が徐々に解けていく内に、周囲の何もかもが疑わしく見えるクレア。
彼女が酷い疑心暗鬼に陥っていくさまは、見ていて寒々しいまでに恐ろしい。


シナリオ展開や映像技術的にはホラーサスペンスのセオリーを忠実に踏襲している。
視聴者を驚かすタイミングは十分に心得ていると言えるだろう。
その分、ホラーやサスペンスを見慣れた視聴者は、スリルシーンのタイミングを予測できてしまうかもしれないが。

ストーリー自体にも目立った斬新さはない。
良く言えば分かり易く、悪く言えば安直だ。
″娯楽映画″として気楽に見る内容としてはちょうど良いレベルなのではないだろうか。
ただ、若干ストーリー展開にテンポの悪さがあり、また謎解きも強引で製作側のご都合主義が色濃く見える。

一つ重大な問題があるとすれば、ホラー要素の″必要性″に関してだ。
見ている視聴者はホラーで驚けば良いのか、サスペンスで驚けば良いのか分からない。
だがホラーとサスペンスの両方で驚けるほど、ストーリーは上手く昇華されていない。
心霊現象をクレアが疑心暗鬼に陥る″ただのきっかけ″と受け止めるべきか、疑心暗鬼と同程度に″重大な恐怖要素″と受け止めるべきか迷うのである。

この程度のサスペンスであれば、原因を心霊現象に頼らなくても十分に可能だ。
またホラーとしても、他に雑多あるホラー映画に優るわけではない。
両方が中途半端に終わっていると言わざるをえないか。
監督が欲張り過ぎたのだろう。


Mファイファーの悲鳴と突然の効果音で視聴者を驚かすのがこの映画の目的だ。
ストーリー設定などはそのための手段でしかない。
見ていて退屈する映画ではないが、それ以上を望むと必ず肩透かしを食う。

そう、だからポテトチップスでも貪り食いながら気楽に見よう。
期待は禁物。
何も期待しなければ、とりあえず2時間は暇を潰せる。
プペ

プペ