じょの

メタリカ:真実の瞬間のじょののレビュー・感想・評価

メタリカ:真実の瞬間(2004年製作の映画)
4.0
たくさんの人にオススメし、自宅上映会まで開催するくらいには推している作品。

これを見れば、きっとメタリカが好きになる!……かどうかはわかりません。
むしろ嫌いになる人もいるでしょう。実際「こんな 奴らだったなんて!ガッカリだ!」という、往年のメタリカファンもいるくらいです。

なにが「ガッカリだ」かって、『娘のバレエ教室の送迎をするメタリカのフロントマン』とか、そういうシーンのことらしいのですが、私からしたら「それを含めてのドキュメンタリー」ということで、むしろ好感が持てます。(“娘の送迎”に好感を持つんじゃなくて、“そのシーンをカメラが捉えて、編集の段階でカットされなかった”という点を評価している)

この監督は、元々ずっとドキュメンタリーを撮っていたそうで、さすがに『ドキュメンタリーが何だか』をよくわかっている。
メタリカが世間的にどんなバンドと捉えられているか、バンドという職業が世間的にどんなどんなものと捉えられているか。そこにイメージがまったくない人には、ちょっとわかりにくい内容かもし れないが、その場合は二度くらい、繰り返して見てほしい。時間をかけても理解したいことが、この映画には確かに描かれていて、そもそも“時間をかけても理解したいこと”というのを、“理解する”には、それなりに時間がかかるものなので。(しかし商業的には嫌われるこの手法……)

「無人カメラで撮ったんですか?」と問いたくなるほど、まっすぐにバンドを捉えたその映像は、観客に“確かに一緒にそこにいたことがある”と錯覚させるほど。(もし本当にそこにいたら、いたたまれなくて5分と同席していられないだろうけど…。そして“無人カメラ”に関しては、出演者も同じく。「カメラ回ってるってわかってますか?」と問いたくなるほど。特に某メンバーはリラックスにもほどがあるw)。

この監督陣は、別にメタリカのファンじゃなかったんだろうな。(最終的にファンになったかもしれないが)なんというか、“情”みたいなもんを一切とっぱらっている。そんな気がした。
たとえば、ラーズとムスティンが会話するシーン。こんなのファンだったらよう撮れんし、もしファンだったら、MTVアイコンに選ばれたシーンはもっと華々しくクローズアップし てもいいくらいだ。

生易しくない世界を、生易しくなく撮った。別に意地悪ってんじゃなくて、それが“ありのまま”だからだ。
だからこそ、バンドの持つ美しさ、キャラクターの個性などが、より際立つ。
ドキュメンタリーのお手本みたいな撮り方をしていると思った。

しかし尺がちょいと長過ぎやしないか。ドキュメンタリーで二時間越えはつらい。もうちょっとカットしてもいいような気はした。
でもメイキングを見たら「ものすごーくカットしてますが!?」って話で、特典映像を見ると、いいシーンがいっぱいカットされているのがわかる。これは監督も断腸の思いだったことでしょう。(だからこそ特典映像があんなにてんこ盛りに……)

近頃、人生ひとやま超えました、という中高年に、オススメする一本です。
じょの

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