若き日の押井守が放った知る人ぞ知る超名作。
クリストファー・ノーランやデヴィッド・リンチの思考にも通じる摩訶不思議ワールド。
いざ、虚構の世界へ———
question1
世界中の人間が一斉に竜宮城へ行き、全員同時に戻ってきた。それでも時間は進んだといえるのか?
学園祭前日を繰り返す生徒たち。
「学園祭前日」という焦燥感のある設定がいいよね。
見下ろすと街は、亀の背の上に。
デ・キリコ絵画のような、不気味に誰もいない街。
question2
ある男が蝶になる夢を見た。目覚めた彼は思った。一体どちらが現実なのか?
今この瞬間が夢でないと言い切ることはできない。それがデカルトおじさんの悩みでもあったのだ。
夢から醒めたらまた夢。
これは一体誰の夢なのか?
あたる達は夢の主を見つけ、この夢の世界から脱出することはできるのか?
押井ワールドは、いつも難解で哲学的だが、本作はそのエッセンスを「うる星やつら」で描いている分、かなり見やすくて面白い。
哲学的で観念的な主題と、エンタメ性を両立した傑作。
「好きな人を好きでいるために、その人から自由でいたいんだ」
公開:1984年
監督:押井守(『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『スカイ・クロラ』)