mikoyan358

デルス・ウザーラのmikoyan358のレビュー・感想・評価

デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)
4.5
2018/9/16再鑑賞
舞台となったハバロフスクやロシア沿海州を現在旅行中で、原作者アルセーニエフゆかりの場所を訪れるにあたりより理解を深める意味合いで再鑑賞。原作もあわせて読んだ事で、デルスという自然人の恐るべき野生での生活能力と研ぎ澄まされた感覚、動物や植物と一体となって生きる純粋さがよりくっきりと伝わってきた。だからこそ、彼の良さが全て失われてしまった終盤の展開がいたたまれない。彼が実在したのが今からほんの100年前ということが信じられないくらいに発展したロシアの街を眺めつつ「純粋に人間らしく生きる」とは何であるかを改めて考える。

2009/2/4鑑賞(鑑賞メーターより転載)
劇的な展開があるわけでもなく淡々と進んでいくのに、しみじみとした感慨が残る。有り余るほどのロシアの雄大な大地をふんだんに使った映像の美しさもさることながら、デルスという自然人の素朴で親しみやすく、それでいて自然の中に生きる鋭さを失わない姿に魅力を感じ、強い感銘を受けたからこその感慨だろう。目が悪くなって都会にやって来た後の皮肉な運命をまざまざと見せ付けられ、鑑賞後しばし呆然としてしまった。黒澤映画でも旧ソ連作品ということで半信半疑だったが、これは「七人の侍」「天国と地獄」に次ぐ名作かもしれない。
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