パン

インディアン・ランナーのパンのレビュー・感想・評価

インディアン・ランナー(1991年製作の映画)
4.3
冒頭からかなり特殊な画面コントラスト。
癖が強い色調なため好き嫌いが分かれるかもしれない… 

この映画は日本版のブルーレイが発売してなくてDVDしかないんだけど、不思議とDVDの画質が丁度良く感じる。
高画質すぎないほうがマッチする作品ってあるよね。
  
本作はあのプレッジやイントゥ・ザ・ワイルドも監督したショーン・ペンの監督デビュー作。 
主演のデヴィッド・モース、俺大好きなんだよなあ~この人… 
結構有名な映画に名脇役として出てる。  
グリーンマイルとかザ・ロック、あとダンサーインザダークにも出演してるな。
この人って主役何度もするような派手さはないんだけど良い役者さんだよね。 

ベトナム帰還兵の弟と警察官の兄。
91年の映画なのにどこかアメリカンニューシネマの香りが漂う作品だった。 
時代がベトナム戦争の頃というのもあるけど。  
デニスホッパーとか参加してるから結構意識して作ってると思う。

母は病死、父は自殺、弟は刑務所って中々壮絶だな主人公の人生は。 
暗い映画なので鑑賞するには覚悟が必要かも。 

モザイクなしのあそこが思いっきり出てくるんだけど、本当は日本の法律だとちゃんと局部にモザイク入れないといけないんだよな。  
なのに編集で入れ忘れてる…珍しいこともあるもんだ。 

弟の終盤のセリフ「奴らは問題を解く時間もくれねえ。世の中は数学のクラスと同じだ。いつもお利口さんがいて、クソが一人で手を挙げて答えてやがる…俺はまだ答えを見つけてねえ」
ここの一連のセリフめっちゃ良かった!! 

弟は世間から見たら犯罪者だし妻にDVするしダメ男だけど、今まで相当苦しんだのだろう。 
あそこで「世の中は優しくないよな」ってさらっと答える兄も素敵。

あの殺害シーンと出産の「神様!助けて」をシンクロさせる演出も見事で天才的だと思った。
弟の犯行後、画面内にインディアンランナーが度々映りこんでいたが、あれはアメリカ人が持つ本来の獣性、フロンティア精神のようなものを表現していたのではないかなと推測してる。
アメリカ人って西部劇の時代ならそれこそ泥臭く逞しい国民性だものね。弟は生粋のアウトローだったし。

まるで悪夢に目が覚めるかのような内容だが、どこが現実味があってフィクションとは思えない心に残る作品だった。
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