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コッポラの胡蝶の夢のKANAのレビュー・感想・評価

コッポラの胡蝶の夢(2007年製作の映画)
3.9
コッポラがミルチャ・エリアーデの原作を忠実に映画化。わけ分からない失敗作ととるか、哲学的な芸術作品ととるか…好き嫌いがはっきり別れると思うけど私はすっかり魅了されてしまった。さすがコッポラだと思った。心は70歳のまま30代の頭脳と肉体に若返ったドミニクを通して表現される輪廻転生の世界観はすごくシュール。意識とは何か?真実はどれ?…とりあえずすべては儚い。劇中で取り上げられる荘子の故事『胡蝶の夢』そのもののように、夢うつつな感覚を覚える深淵でファンタジックな映像には吸い込まれる。果てしない哲学に加え、SF(タイムスリップ)、ラブロマンス、ナチスを背景にした歴史的要素等が詰め込まれていて決して単純じゃない。でも難解にしてるというより敢えて曖昧模糊とさせてるような気がする。ドミニクの潜在意識を示唆するように。彼の言語学者としての視点もとても興味深かった。
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