KANA

マイ・プライベート・アイダホのKANAのレビュー・感想・評価

3.6

以前観てるけど改めて。

若きリヴァーとキアヌ。今となっては幻の共演作。

色褪せた画面、ハワイアンっぽいスチールギターの気怠い音色…
アイダホの広大な野原を突っ切る一本道のファーストシーンから、ノスタルジックな白昼夢みたい。

同性愛、売春、ドラッグ、ナルコプレシー、近親相姦…と、いろんな要素を盛り込んでて、テーマとしてまとまりがあるわけではない。まぁ正直輪郭はぼやけてる。
特に男娼仲間たちとのくだり(父親的存在のボブがどうのこうの)なんかは冗長に感じたかな?

マイク(リヴァー)は必要としてるものを求めても求めても掴めない。
母親も、スコット(キアヌ)も…すり抜けていく。
そんな現実から逃避するように睡魔の発作が起こる。
その姿がとても哀れで切なくて。
ラスト、彼を車に拾い上げたのはたぶんあの人…

スコットはポートランド市長の御曹司という、マイクとはかけ離れた家庭環境ながら、ワルなストリートキッズとしてとても器用に振る舞う。
その器用さスマートさが、キアヌにピッタリハマってた。
レザージャケットから終盤スーツに変わるギャップも素敵。

ストーリーを追いかけて楽しむというよりは、音楽込みで虚ろなファンタジーに浸るアート作品という感じ。
印象に残る、焚き火のシーンとバイク二人乗りのシーン。前者は若き2人の繊細な思慮深さが、後者は美しさが際立ってて特に好き。
脚本として纏まりきれてない中(失礼)、家族の愛情や友情の依存しきれない脆さ儚さみたいなものは強く感じてやるせなかった。
ガス・ヴァン・サント自身が経験した痛みを投影してるのかな…
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