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白い家の少女の一人旅のレビュー・感想・評価

白い家の少女(1976年製作の映画)
3.0
ニコラス・ジェスネール監督作。

ニューイングランドの小さな村で父と二人で暮らす13歳の少女・リンと、村の人々の関わりを描いたサスペンス。
製作当時14歳のジョディ・フォスターによる大人顔負けの熱演が最大の見どころ。肉体的には少女らしい未熟さを感じさせても(ヌードあり)、その言動には何か人生を諦観したかのような哀しみに満ち溢れている。表情は暗く沈み、特に生気のない目つきが印象的だ。邪険な態度を取る中年女に対し冷めた口調で反発心を露わにし、マーティン・シーン扮する小児性愛の男に対しても攻撃的な態度で必死に抵抗する。また、自分を慕ってくれる少年と子どもらしく無邪気に過ごす中で淡い恋のような感情が芽生えても、女としての魅力を駆使して少年を巧みに利用してしまうという打算的な一面を見せる。大人としての顔と少女としての顔、双方を使い分けた演技が特徴的で、同時期の出演作である『タクシードライバー』や『ダウンタウン物語』とは趣の異なる演技を魅せている。
物語はジョディ・フォスターの存在感頼みの面が大きい。エゴと欲望にまみれた大人に対し冷酷な手段で抵抗することを余儀なくされた少女の哀しみと覚悟。その全てを主人公・リンに扮するジョディ・フォスターがたった一人で体現する。少女の心理描写という面では良く出来ていると思うが、劇中描かれる出来事の大部分が少女個人の心理的側面に収束してしまうし、地理的にも動きが少ないため、物語自体に広がりがなく全体的にこじんまりとしている印象。だがその分、自分を守るために大人としての自己に徹し続けることを最終的に選択する姿に少女の孤独や悲哀がひしと伝わってくる。燃え盛る炎を背景にした長回しのラストカットが印象的で、自分を大人にさせた大人たちに対する少女の怒りと憎しみが、一点を見つめる少女の冷めた目つきに象徴されている。
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