mさん

エイリアン2のmさんのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン2(1986年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

前作とジャンルを大きく変えて、完全な戦争アクション映画になった。しかし自分はこっちの路線の方が飽きずに楽しめたし、さらに単純なアクション全振り映画ではなく、むしろしっかりリプリーやその他のキャラクターとの人間ドラマが深く描かれていたので言うことなしな作品だった。普通こういう作品をド派手なアクション路線にすると大体、命知らずの兵士が銃をぶっ放して、エイリアンに向かっていくおバカ映画になりがちだ。実際エイリアンが出てくる前半まではそういうノリだ。しかし、エイリアンが出てからは、調子に乗っていた兵士が完全に怖気付く。前作で強いキャラだと思われていたリプリーに当たるのが今作の兵士たちだ。そこからはお馴染みのエイリアンお化け屋敷状態である。しっかり怖い。1体のエイリアンにジリジリと追い詰められていく前作の恐怖はなくなったかのように思えたが、しっかり今作もこの部分は引き継いでいるので乖離は感じなかった。それでエリアも広がって、エイリアンも何十体も出るので、単純に面白さが増した。前作の部分をちゃんと継承しながら新しいのを入れてるのですごくよかった。

今回一番よかったのがリプリーとニュートの母と子に似た関係性である。前作で十分エイリアンに対する恐怖を見せたリプリーは今作では、自らエイリアンと向き合うため戦場に戻る。だから当然ながらもう怖がるリプリーはいない。その場で怖がる者を救う者となっている。まずリプリーが戦士となっているのがよかった。そこで彼女が出会うのがニュート。この2人の関係性が丁寧に描かれててすごく良かった。お母さんのような目つきになるリプリーはニュートを救っているが、同時に心の安らぎを手に入れて自分自身救われてもいたりして、凄く2人のシーンは好きだった。一番その中でもいいのがベッドに寝ていたはずのニュートがベッドの下で寝ている場面である。これはエイリアンから常に逃げ続けていた彼女の誰からも見えるところに自分の身を置きたくないという悲しい防衛本能からきているのだが、リプリーは大丈夫とベッドに戻そうとしないで、自らがニュートの横に座りねようとする。すごく良いと思った。最後にニュートがママと言ってしまうのも凄く好きだった。こういったドラマがしっかりあるからこそわたしたちはこのキャラクター死なないで欲しいと思えるのだ。そこをちゃんと理解して、彼らを引き裂いたり、ピンチにさせたりする脚本が凄いと思った。ドラマを描くことで、1で描いたエイリアンに殺される恐怖をより強調することができるのだ。

あとロボットが前作とちがって、始終いいやつだったのがよかった。

あとエイリアンの怖さだけでなく人間の怖さも描いてたのもよかった。前回は所詮ロボットだったし。一番怖いのは人間ねと吐き捨てるリプリーやっぱカッコいい。

唯一難点を挙げるとすれば、寄りでカットを構成しすぎなことである。カット割りや構図の美しさは全体的に前作の方が良いなと感じた。

ただ1よりも圧倒的に2派である。
mさん

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