イチロヲ

サンタ・サングレ/聖なる血のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
サーカス団の呉越同舟とした環境で育てられた青年が、母親の呪縛により精神分裂症を患ってしまい、連続婦女殺人事件を引き起こしていく。メキシコで実際に発生した殺人事件をモデルにしている、サスペンス映画。

少年期のショックを抱えている青年が、独り立ちできずにジタバタする物語。「自由主義者の父親への挑戦」「禁欲主義者の母親からの脱却」という通過儀礼がテーマに取られており、主人公の少年期・青年期ともに、監督の息子が役柄を演じている。

サーカス団(見世物小屋)がフィーチャーされており、メキシコの危険地帯(日本で例えると釜ヶ崎あたり)でロケしているため、映像面でのインパクトが絶大。母親のプレッシャーに負けて、殺人行為に手を染めてしまう主人公の怪演もまた素晴らしい。

「自動筆記法(イメージを連鎖させていく技法)」による間延び感が半端ないけれども、救いと癒しを求める心がヒューマン・エラーを生じさせるという、無神論的解釈にホドロフスキーらしさが滲み出ている。
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