逃げるし恥だし役立たず

デンジャラス・ビューティーの逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

3.5
謎の爆破魔から犯行予告を受け、捜査のためにミス・アメリカ・コンテストに出場することになった、地味でガサツな男勝りで色気ゼロの女性FBI捜査官グレイシー・ハートの悪戦苦闘を描く、人気女優サンドラ・ブロックのユーモラスな妙演が冴えわたるサスペンス・コメディ。
洒落っ気もなく男勝りで仕事一筋のFBI捜査官グレイシー・ハート(サンドラ・ブロック)が手配中の連続爆破魔"シチズン"からミス・アメリカ・コンテストを襲うと爆破予告を受けて、現場の警備と捜査のためにグレイシーをミスコン会場へ潜入させることになる。ミスコンを軽蔑しきっていたグレイシーであるが、ビュティーアドバイザーのヴィクター・メリング(マイケル・ケイン)達の手によって磨きあげられ、ニュージャージー代表としてコンテストに乗り込んでいく…コミカルな笑いどころもたっぷりで、主演は『しあわせの隠れ場所』のサンドラ・ブロック、かつてない個性的な美女像が描かれる。
サンドラ・ブロックの溢れる魅力のみで成立している映画だが、主役以外のキャラクターも個性があって面白く、女版ダーティハリーであるグレイシー・ハートをエレガントな美女に仕立てるため美容コンサルタントのヴィクター・メリング(マイケル・ケイン)が四苦八苦したり、ミス・ロードアイランドのシェリル(ヘザー・バーン)たちミスコンを通して出会った仲間との交流、エリック・マシューズ(ベンジャミン・ブラット)との恋の行方と云ったロマンスもあり、主人公の成長により次第に周りの人の心を掴んで行くという芯があり、全体に軽いノリだがコメディ過ぎずバランスの良い内容で場面転換が早いため飽きる事なく最後まで楽しめる。
まあ、今更に二十世紀最後のB級然とした凡庸な設定の物語をスクリーンで見る価値は感じないだろうが、変身したサンドラ・ブロックが格納庫から姿を現わす場面、身支度が出来ないサンドラ・ブロックをミスコン仲間が皆で助ける場面、夜のプールサイドでのベンジャミン・ブラットとの場面など、印象的な良いシーンがあったりもする。
ミスコンに潜入捜査なんてどう考えても納得がいかないし、爆破魔シチズンやら真犯人の動機やらと突っ込みどころが満載なんだけど、其んな魅力の無い事件は完全に副次的な物に落として、余計な要素入れて中途半端になるよりも彼女を前面に押し出した直球勝負、何よりも観た後に結構爽快な気分になれるのが良い。
下品だが性格は男前で、大口を開いて鼻を鳴らして笑う、スパイスの利いたジョークに皮肉めいた憎まれ口が得意な変身前のサンドラ・ブロックの方が個人的には好みだったりして…まあサンドラ・ブロックのチャーミングな馬面の可愛いらしさが程良い塩梅であって…綺麗系のニコール・キッドマンなら嫌味になるし、性的なシャロン・ストーンだと作品が変わるし、ジュリア・ロバーツやジョディ・フォスターに関してはオファーを鼻で笑われそうだし…