にゃんこむ

友だちのうちはどこ?のにゃんこむのレビュー・感想・評価

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)
4.0
アッバス・キアロスタミ監督作品。
子供達の宿題環境を特集したドキュメンタリー『ホームワーク』での経験が発揮されている作品だと思いました。

主人公は、友達のノートを間違えて持ってきてしまったアリという少年。
アリは友達にノートを返しに行きたいが、母親は遊びに行く前に宿題をやりなさいと怒るばかり。
宿題をやらないと退学させられてしまうと説明するアリに、遊びにいきたいだけろう、嘘をつくなと怒る母親。
成立していない会話。
友達の家は遠く、だいたいの場所しか知らないアリでしたが、こっそり友達の家に向かうことにします。

アリは、友達のノートを間違って持ってきてしまううっかりさんではあるものの、友達のうちに返しに行くという責任感がある良い子です。

アッバス監督の作品に出てくる大人たちは子供の言う事を聞き入れようとしません。アリがやることがあると言っているのに、煙草を買いにいけと言うアリの祖父。
そこで祖父が語った言葉が衝撃的でした。
子供が反抗してきたら殴ってしつけるべきだと豪語する祖父に、
祖父の友人は、もし礼儀正しい子だったらどうする?と投げかけます。
少し考えた祖父の答えは、何かにつけて4日に1度殴ることにする。なんて酷い言葉を言います。

『白いリボン』ほどの衝撃はないけれど、子供を取り巻く理不尽さが表現されているなぁと思いました。
このお話の大人は誰も子供の言う事を聞かないし、みんな不親切。

アッバス監督の作品の終わり方はどこか無常で、『ロープ/戦場の生命線』を見た時のような、なんとも言えない気分になりました。
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