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ヒルコ 妖怪ハンターの教授のレビュー・感想・評価

ヒルコ 妖怪ハンター(1991年製作の映画)
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塚本晋也監督曰く、かつてのNHKで放送されていた「少年ドラマシリーズ」のオマージュとして製作されたSFホラー作品。

正直、出来に関しては微妙な感じ。
物語は設定をすべて台詞で説明し、省エネ且つ効率を優先した展開で、逆に入り込めない。
当時の塚本監督の立場を慮れば、その発言力と、任されたバジェット的な制約の面で苦労が見えてくる。
描こうとしている「ジュブナイルSF」的な要素に関しては、自身のバックボーンを活かした見事な世界観の構築は達成していると思うが、全体を牽引する物語が弱い。

稗田(沢田研二)とまさお(工藤正貴)のキャラクターの掘り下げも、ストーリーを説明する役割としか機能していないのが残念。
ヒルコを巡る因縁を語る渡辺(室田日出男)も事件のきっかけとなるまさおの父八部(竹中直人)や月島(上野めぐみ)も同様の扱い。

やかんなどを組み合わせた妖怪探知機などのガジェットは塚本晋也作品らしい面白みは残っているが、それらが上手く機能する部分と、そうでもないところが散見して全体的には上手くいっていない。

ただ感覚的な部分では、まさに「少年ドラマシリーズ」的な空気感と「遊星からの物体X」オマージュ、サム・ライミ的なホラー表現などの映画的オマージュ。
個人的には、世代的にも「アイドル」的な魅力に溢れた上野めぐみの姿がフィルムに焼き付けられている強烈な感傷が印象的だった。
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