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サマーウォーズのyookiecoのレビュー・感想・評価

サマーウォーズ(2009年製作の映画)
4.4
【サマーウォーズを観ることが、私にとっての帰省である】

今日から夏季休暇。夏休みの初日に映画館でこの作品を観れるなんて再上映に感謝だ。先週は時をかける少女の再上映にも行ったが、どちらもほぼ満席。今日のサマーウォーズではエンドロールが終わると拍手が湧いていた。何度みてもいい作品だと思った。毎年夏が来たら、時かけとサマーウォーズの再上映をやってもらいたい。

日本の夏、時かけの夏、サマーウォーズの夏、だ。

いわゆる「本家」に生まれた私にとって、上田の栄おばあちゃんの家は(あそこまで豪邸ではないが)懐かしくて仕方がない。幼少の頃、親戚一同がよく集まる家だった。仕出し屋が料理を持ってきて、母の妹達は御勝手に立ち、テレビの前にはビール片手に甲子園を見ている叔父さん達がいて、遅れてやってくる風天来な従妹のお兄さんがいたり、誰だかよく分からないおじさんまで、色んな人が集まってカオス状態だった。デリカシーのない面倒なちょっかいなんかも、あるあるだ。本家のお母さんが出し物の順番を心配するシーンを見れば、そういえば座敷で演舞を披露している叔父さんがいたなぁ…とか、見る度に蘇る実家の風景がある。ほんとに小さい頃は、私も蚊帳吊った部屋で寝てたし、朝顔柄の浴衣を仕立てもらったな…。

それにしても細田守監督の描く「日本の原風景」は美しい。映画館のスクリーンに映し出されると、改めて思った。青い空と入道雲、空が白んでくる時間から花開く朝顔、平屋建ての日本家屋の縁側や床の間からそれらを眺めるシーンは、4DX上映でもないのに、夏の匂いが漂ってくるようだった。私は細田監督のフラットで軽やかな人物描写もたいへん好みで、それがまた写実的に描かれた美しい背景と、互いを引き立て合っていると思う。これはもうNIPPONのプロモーションビデオと言ってもいいだろう。

今日もまた胸アツ展開に涙し、胸きゅんシーンに微笑みながら、あの頃の夏を懐かしんでいる自分がいた。
サマーウォーズを観ることが、私にとっては夏の帰省なのである。

ただいま。
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