ごまかしオジサン

ミリオンダラー・ベイビーのごまかしオジサンのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)
4.5
2度目の鑑賞。
ところどころしか内容を覚えてなかったので、初見のように楽しめた。

31歳と遅咲きの女性ボクサー=マギーが、敏腕トレーナー=フランキーとともに世界チャンピオンを目指す話なのだが、単純なスポーツ作品ではない。

マギーは、田舎出の貧乏で、家族から冷たく扱われている。
フランキーは敏腕トレーナーでありながらも、慎重過ぎるがゆえに有望なボクサーに逃げられていて、家族とも疎遠になっている。

そんな家族の愛情を知らない2人が戦いやプライベートを共にして、家族以上に絆を深めていくのだが、2人の心理描写が丁寧なため、どんどん2人に感情移入してしまう。

チャンピオンとの試合後のシーンや、最期の「モ・クシュラ」のシーンは、涙無しには語れないほど感動した。

また、フランキーの嫌いな"才能がないのにガッツだけはあるボクサー"の典型例として登場するデンジャー。
彼は、直接マギーたちとは絡みはないのだが、いい味をだしている。

フランキーの教えは「第一に自分を守れ」「タフさだけでは足りない」だが、マギーも以前はガッツがあるだけのボクサーだった。
だから、同じタイプのデンジャーが、ラストシーンで喧嘩に負けてもジムに戻ってきたのは、マギーのなしえなかった夢をデンジャーが叶えてくれるのではという希望を与えてくれる。

一つ一つの映像、カットに意味を込めて丁寧に作り込んでるため、アカデミー賞を受賞したのも納得した。
また見直そうと思う。