イチロヲ

サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
無味乾燥とした日常を送っている中年男が、睡眠中の夢世界に現実逃避を見いだしていく。フロイト、ユングの精神分析を根底にしている、ヒューマン・ドラマ。

筆者は「夢診断」に懐疑的な立場を取っているのだが、人間の「脳みその不思議」という観点では興味が途切れることはない。「明晰夢」(夢の中で夢であることに気づくこと)についても、強い関心を抱いている。

本作の主人公は「夢って何だろう?」という疑問の答えを、ひたすら探し求めていく。現実世界のみならず、夢の世界でも「夢って何だろう?」と訊いてまわるところが、コメディ要素となっている。

フロイトやユングの研究本を一冊でも読んでいると、物語の先が容易に読めてしまう。書籍に書かれていたワードが次々と出てきて、「あー、本で読んだわー」という気分にさせられる。精神分析の入門書としても最適な作品。
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