戦え!ぼくらのキカイダー!
仮面ライダーと並ぶ石ノ森ヒーローと言えばキカイダー!
悪の秘密結社ダークと戦うために光明寺博士が作り上げた正義のロボット戦士ですね。
「人造人間キカイダー」は、「8時だよ!全員集合」から視聴率を奪う刺客として「デビルマン」と共に放送された特撮ヒーロー番組なわけですが、本作は子供向け劇場用プログラムであった東映まんがまつり用に製作されたキカイダーの劇場版となります。
パートタイム3Dなので、立体視処理された場面になると「さあ、みんなメガネをかけてみよう!」と促してくれるのが微笑ましいです。
ただ、ネット配信されているものを観たのですが、残念ながら3Dの箇所は白黒でしか観られません。
きっと、当時鑑賞したお子様たちは、スクリーンから飛び出すキカイダーのパンチや投げ飛ばされるアンドロイドマンに興奮したことでしょうね。
お話自体は可もなく不可もなく、いかにも特撮ヒーローっぽい大雑把なもので、ダークの首領であるプロフェッサーギルが「東京!大阪!名古屋!横浜!札幌!この五大都市を全滅させる!」と、いきなり息巻くところから始まります。結局のところ、この計画は発動する前に頓挫してしまうので、どういう意味の全滅だったのかも分かりません。
どんな計画だったんでしょうか(苦笑)
元々、ダークって戦闘用ロボットとか作っちゃ、どこかの国やテロリストに売っている死の商人みたいな組織だったんですけど、どんどんプロフェッサーギルが狂っていって、最後には目的がキカイダーの破壊になってしまったんですよね(汗)
とにかく、ギルを演じる安藤三男の怪演が半端なくキレているので、それが最大の見所といえるでしょう。
目をひん剥きながら、「殺せ〜!殺せ〜!殺せ〜!」と連呼するところなんて、これを我が子が真似したらどうしようと戦々恐々とするお母さんの顔が思い浮かぶようです!
どうやら五大都市全滅作戦のために必要な何かを、ある少女が持っている事が判明、ギルは新鋭ダークロボットのマダラスナトカゲにそれの奪取を命じます。
マダラスナトカゲは、この劇場版オリジナルのダークロボットですが、特に強いわけでもなく、どちらかと言うと弱っちいんですね。
一般人の少女を捕まえることさえできないし。
まあ、それにはちゃんとした理由もあるんですけど、要はギルが光明寺博士から奪ったオールマイティ装置というものがあって、これは破壊されたロボットを瞬時に復元することができる、よく考えたらとんでもなく凄い発明なんですが、その装置を使う場面のためにマダラスナトカゲはすぐに壊されたりするわけです。
ちなみにマダラスナトカゲはオッパイに扇風機をつけたトカゲ型ロボットで、声の担当はマスオさんだったりします。
あの、「サザエ〜〜」の声で「キカイダーめ〜〜!」などと叫びまくるのだからたまりません!
あと、なんでスナトカゲなのかといえば、ロケ地が鳥取砂丘だからなんでしょうね。
劇場版ということで予算も多少はあるのか、鳥取砂丘の他にも横浜ドリームランドでロケしておりまして、ここはもうとっくの昔に閉園してしまって今はもう無い遊園地なのですが、実家の近くでしたので何度も行った思い出の場所です。閉園直前にはデートでも行きましたよ。
夏は花火、冬はアイススケート。
そういえば、ドリーム名画座なんていう映画館?もあったような。
なかなかの高さを誇るホテルも併設されてましてね、回転する展望レストランもあったりしたんですが、なんとそこの屋上からジローがギターを鳴らして登場するという度肝を抜くシーンがあって、なんだかもう思い出と共に泣けてきましたよ!
鳥取砂丘では、ヒッチコックへのオマージュなのかセスナ機に追われたり、20体の再生ダークロボット軍団が登場したりと色々なサービスが満点!
子供はとにかくたくさんの怪人や怪獣が出てくる話が大好きですからねえ。
ただ、この復活した奴ら、みーんな超弱い!弱すぎる!
あんなに強かったギンガメまで瞬殺されます。
尺が30分しかないからね。仕方ないか。
タコヤマブキが空飛ぶってのもどうなんだろうか。タコだよ?正月に上げるやつじゃなくて海のタコなのに。
しかし、動物+色がネーミングの基本になってるダークロボットですけれど、今更ながら強引な名前もいくつかありますね。
タコヤマブキもそうだけど、カイメングリーンとかバイオレットサザエなんかはどうなのよ(苦笑)
海綿だよ?サザエだよ?
強いわけないじゃない(笑)
でもテレビ本編ではそれなりに強かったんだよなあ。
ダイダイカタツムリなんて、お子様たちは格好いいと思ったのかなあ・・・光明寺博士が作ってるからそれなりの強さではあるけれども。
で、鳥取砂丘になぜか皆んな集まってくる。
狙われた少女も、光明寺博士を探す子供達も、探偵のハンペンも、そしてキカイダー(ジロー)も。
なんと光明寺博士まで居たりする。
こんな偶然あるかい!
光明寺博士なんて記憶喪失だから娘たちをみてもよく分かってないんだけども、マダラスナトカゲとの戦いで故障したジローが寝ているホテルの部屋へ不法侵入して、「頭はおかしくなったが手がロボット工学を忘れていなかった」って、勝手に手が動いてジローを直してしまいます。
いやいや、普通は頭が覚えているんでしょ、ロボット工学は!
単純作業じゃないんだから手が覚えているって(苦笑)
更に、博士ったらキカイダーのピンチに、たったひとりでデカい岩を崖から落とす!
あんた、どんだけ力持ちなん?!
もしかして博士自身がロボットなんじゃないの?
テレビだとハカイダーに脳みそ盗られちゃうから人間なんだろうけどさぁ。
そんでもって、よく分からないんだけれども、どうやら少女の持っているペンダントが、実は光明寺博士がオールマイティ装置を破壊するために仕掛けておいた爆弾のキーだと判明します。
装置を守ろうとするダークは総力を結集してキカイダーを倒そうとしますが返り討ちにされ、ペンダントを使って無事にオールマイティ装置は破壊されてメデタシメデタシ!
ひとり去って行くジローという、いつものパターンで終わりであります。
それにしても、脚本は「特捜最前線」の長坂秀佳なんですが、偶然に彼氏がひろったペンダントを2人のお守りにしていたら、そのせいで彼氏が殺されてしまい自分も命を狙われる・・・などという、けっこうなエゲツなさが流石ですな。「特捜最前線」でもありそうだもの。陰鬱な話(汗)
サイドマシーンに5人乗って走り回るシーンも、シナリオにあるかどうかは分かりませんが、あのバイクに5人(子供は1人だけ)乗って実際に走るとはヤバいでしょう!ハンペンなんか落ちそうなのを堪えてますよ、絶対!
そうそう、お祭り映画だからこそなのでしょうけれど、この映画の最大の特徴は3Dとかドリームランドなどではなくて、実はデッドプールなみに第4の壁を破ってくることなんですよ!
キカイダーが「こんなヤツには負けないから見ててくれ!」みたいに観客(お子様)に向かって喋りかけてくるんです。
しかもキカイダーどころか、マダラスナトカゲやプロフェッサーギルまでもが破ってきますよ!
ギルなんて、お子様が「キカイダーがいるもん!」とかヤジを飛ばすと(そういうスクリーン外からのセリフがちゃんと聞こえる)逆ギレしてみせてくれます。
安藤三男の素晴らしいナリキリ演技に感動しますよ、マジで!
ほんと、プロフェッサーギルは最高だなあ!
完全におかしいもの、あのオッサン(苦笑)
近年の「キカイダーリブート」は色々と失敗でしたけれど、キカイダーというコンテンツは非常に魅力的だし、なんとかもう一度、花開いてほしい日本が誇るヒーローだと思います。
イナズマンやズバット、ロボット刑事と組んでヒーローチーム結成してくれたら鼻血でて喜ぶんですけれどね〜!
アマゾンプライムビデオにて