こたつむり

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-のこたつむりのレビュー・感想・評価

2.7
“リアル”とは何か?を突き付けてくる作品。

第二次世界大戦中のドイツ。
監獄に入れられた主人公が脱獄を目指す―という物語ですが、その手触りは圧倒されるほどに写実的。脱獄の参考になりそうなくらいに(…勿論、現代の設備には流用できませんが)説得力がありました。

ですから、監獄の中も。
主人公が知り得ない部分は映りません。
看守の靴音が廊下に鳴り響く中、「いつ見つかるか分からない」という緊張感をもって脱獄作業に励む…そんな物語なのです。まさしく、脱獄における“リアル”を追求したと言っても過言ではありません。

しかし、それが「面白いのか」と問われると。
微妙なところなのです。と言うのも、僕にとって重要な“リアル”とは、あくまでも登場人物の心情であり、過剰な演出を嫌っているわけではない…というか物語が盛り上がるならば、演出で物語を糊塗するのはアリだと思っているのです。

また、登場人物の心情を重要視する…。
ということは、“物語内の未来”を知りたくないと同義。何しろ、物語の中の登場人物たちは未来を知ることが出来ないわけですからね。未来を“ネタバレ”されてしまったら、彼らの感情に寄り添うことが難しくなるのです。本作で言えば“脱獄できるか否か”は知りたくなかったわけです。

まあ、そんなわけで。
巷での高評価を耳にしたので鑑賞しましたが…。
相性は最悪だったようです。
淡々とした展開は眠気を誘うばかりで「『抵抗』とは睡魔との戦いを示しているのだね、兄さん」と嫌味しか言えない始末。うん。口が悪くてゴメンナサイ。

ちなみに、少し話は逸れますが。
飛躍的な発展を遂げたテレビゲームにも“リアル”を追求した作品がありました。装備品における重量制限、食料を口にしないと体力が減っていく…などの受け入れやすいものから、野球ゲームにおいて“捕球時にタイミングよくボタンを押す”というものまで…。

でも、それが面白いのかどうか。
それは人それぞれなのでしょうが…その様式をそれ以降見かけないのは、大多数が選んだ“ゲームに求める楽しさ”とは違った…と言ってしまうのは乱暴でしょうか。

というわけで。
映画における“楽しさ”とは何か。
を考えるには最適な作品でした…というのは負け惜しみ過ぎますかね…。

補足)自分には精進料理のような映画でした。
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