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ワルキューレのkanegon69のレビュー・感想・評価

ワルキューレ(2008年製作の映画)
3.8
事実を元にしたストーリー。ナチスドイツにおいて最後のヒトラー暗殺を試みたワルキューレ作戦のシュタウフェンベルクをトム・クルーズが演じる。

この映画を巡っては、最初、シュタウフェンベルクの遺族から、トムが演じるという事で反対があったそうだが、映画を観た限りではトムの演技は本当に素晴らしかった。彼はハンサムだし、アクション映画もクールに演じる大スターだが、とてもストイックに演技に向き合ういい役者でもある。全くもって違和感なく映画を楽しめた。さすが、トム・クルーズ!

映画自体は、ドイツが降伏するわずか9ヵ月前に、誰もが敗戦を意識したドイツで、同じドイツ人でもヒトラーの考えばかりではないんだ、と、祖国ドイツのために立ち上がった軍人、政治家たちのクーデターの様子を描いている。左目、右手、左手の薬指と小指を失っても、国を思い、立ち上がったシュタウフェンベルクの勇気と行動力に感銘した。

政治家と軍人の折り合いが悪く、なかなか踏み切れないチームに苛立ちを感じると共に、トムの迫力ある演技が観るものをグイグイ惹きつける。独眼竜政宗のような黒い眼帯をしたトムは、まさに国に命を捧げる覚悟をしたサムライの様でした。

悲しいかな、歴史は変わらないため、最後は想像通り。しかし、ドイツ人も決して同じではなかったんだ、しかも必死でヒトラーを止めようとしていた事実は重い。

歴史に、もしも、はないのだが、やはりこの暗殺が成功していれば、一体どれだけの人命が救われたのかと思うと、切ない気持ちでいっぱいになる。
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