西田千夏

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちの西田千夏のレビュー・感想・評価

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大学の『心理学』の授業で鑑賞したため、
その際に提出したレポートをレビューとして投稿します。笑



①主人公とカウンセラーが信頼関係を築いていく様子について

②主人公と親友(チャッキー)の関係について

③主人公とカウンセラーの関係と主人公とチャッキーの関係の共通点や違う点はどういったところか。




①主人公のウィルは、子供の頃のトラウマがあることから屈折してしまっているが、ウィルの賢しく頭のキレるところは自己防衛の一種で、「根は良い子なんだろうな」と言うのを感じました。そして、ウィルのカウンセラーの先生・ショーンもまた、愛する妻を失ったことから自分の殻に閉じ閉じ籠ってしまうものの、相手と同じ目線に立ったりその人の感情や考えを汲み取ったりするなど他己中心な部分もあるように感じました。そんなショーンは、ウィルの生意気で馬鹿にされたような言葉から、彼が自分と同じ哀しみを抱えた人間で、どこか自分と重なるような感情や気持ちが存在しているのではないかと気付き始めていく。ウィルは1時間ずっと無言だったカウンセリングが大爆笑するくらいまでショーンに心を開き、ショーンもウィルに「自分の愛する妻もオナラしてたんだから、完璧な人なんていいよ」と、始めは妻のことをウィルから馬鹿にされていたが、今度は自ら愛する妻の馬鹿にされそうな話を始める。お互いに何気ない会話で盛り上がり、ここで生まれた二人の笑いこそが一つの共感を作り出すこととして、後に信頼関係を築いていくことにも繋がっていくことにもなったのではないだろうか。


②「本当にそれって友達ですか?」と聞きたくなるほど、チャッキーがウィルの言いなりになってたりパシられてたりする部分があった。


③主人公とカウンセラーという関係での共通点は、何か深い傷や問題を抱えているところが挙げられる。そして、考え方に違いがある。ショーンの場合は「才能は活かすべきだ」と考えているのに対し、ウィルは「才能なんて」というようなマイナスで卑屈したような考えが見受けられる。主人公とチャッキーという関係での共通点として、中々自分の本音を伝えられないということが考えられる。ウィルはデートの時に自分の家族構成や生い立ちを偽ったり、話を盛ったりなどと実際のことを話せないでいるのだ。チャッキーも最後の最後でようやくウィルに思っていた本音を伝えている。相違点として、自分の知っている範囲でしか行動出来ないという部分が挙げられる。ウィルは、バーで知り合ったハーバード大学生のスカイラーから、「一緒にカリフォルニアに来て欲しい」と頼まれた際には、ショーンから「君は本当は何がしたんだ?友達はいるのか?」と言われてしまうのだが、結局のところウィルは過去のトラウマの影響で、自分の知っている範囲でしか行動が出来ません。そして、チャッキーも良いことでも悪いことでも、ただ人から言われたことを言われたようにやっている姿がある。しかし、最後、「お前は宝くじの当たり券を持っているのに、現金化する勇気がないんだ」と、ウィルにはいつか旅立ってほしいという長年の願いを伝えました。自分の本音を真っ向から伝えた瞬間ではないだろうか。



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