シンタロー

追跡のシンタローのレビュー・感想・評価

追跡(1962年製作の映画)
3.3
ブレイク・エドワーズ監督×グレン・フォード&リー・レミック主演。
銀行員のケリー・シャーウッドは、サンフランシスコで高校生の妹トビーと2人暮らし。仕事帰りのある夜、ガレージで突然男に背後から口を塞がれ、銀行から10万ドル持ち出さなければトビーを殺すと脅迫される。FBIに電話するが、姓を名乗った途端、殴られて電話を切られ、次はないと脅される。電話を受けた捜査官のリプリーは、シャーウッド姓の家に片っ端から電話をかけ、通報者のケリーに辿り着くのだが…。
コメディの名手で知られるブレイク・エドワーズとしては異色作。後に様々な監督に影響を与えたとカルト的評価を得ますが、当時成功したとは言い難く、元の路線に戻って「ピンクパンサー」シリーズ等を撮ってます。冒頭約7分の脅迫シーンが圧巻。恐れ慄くリー・レミックの美しきアップのみで、犯人は僅かに口元だけ。「黒い罠」でモノクロの陰影を活かしていたフィリップ・H・ラスロップが才能を存分に発揮。序盤に犠牲者となるナンシーのマネキン工房でのスリリングなカメラワーク、ヘンリー・マンシーニの音楽も素晴らしく、映像に引き込まれます。ケリーが犯人と対峙するはずだったナイトクラブのシーンも秀逸。だったんだけど、犯人に目処がついてからの中盤は、FBIの捜査がもたつき過ぎ。指揮を取るリプリーにリーダーの資質、知性、ユーモアが欠けていて、キャラに面白味がない。キーを握るかに見えた謎のアジア人スングの扱いも中途半端。結局、FBIは姉妹だけでなく、大衆まで危険な目に遭わせるという無能ぶり…前半が良かっただけに残念でした。ちなみに姉妹の住む街の名前は"ツイン・ピークス"。街並みやロケーションはいかにもデヴィッド・リンチ好みで、犯人の名前まで…。
ヒロインはリー・レミック。美しすぎます!銀行員の役ということで、髪型も衣装もビシッと決まっていてスタイル抜群。ダレていく後半でも、女装した犯人と対峙するトイレのシーンや、銀行のお金をバッグに隠すシーン等々、彼女の出演シーンに関しては実に良く撮れていると思います。ブレイク・エドワーズとは「酒とバラの日々」が有名ですが自分は親父が酷いアル中で介護も地獄だったので、どうしても観れない…というか観ません。リプリー役にはグレン・フォード。「暴力教室」「八月十五夜の茶屋」等、日本でも人気でしたけど、芝居は下手だと思います。好きな方には申し訳ないのですが、時々荒井注や有田哲平みたいなお笑い系に見えてしまう瞬間があります。ブリジット・バルドーやデビー・レイノルズ等々、様々な大御所とゴシップになり、結婚歴も4回というプレイボーイ。確かに絶倫そうなお顔立ちしてます。
シンタロー

シンタロー