園子温監督のうつしみの滑稽な感じと、鈴木清順の奇天烈な色彩と、
ジムジャームッシュ的なまったりと描く感じとがミックスされた感じ。
キャストのセリフを極力排除してその代わりにミュージカル演出を挟んで歌の歌詞とかで心情や状況を補足する手法を用いてより映画的緩急を付けている。
最終的なメッセージとしてはわたしはロランスの愛って言うのは性的な行為とか差とか社会的肩書きとかには依拠しないもっと個人的で言葉に尽くせぬ物であるということに近いのかなと。
ラストは多分映画史に残る衝撃のラストが待ち受けているんだけども、そこまでたどり着くまでの理解が完全に観客からすると置き去り感は多分否めないかと。
終わった後に反芻しながら頭の中で辻褄を合わせるとなんとなく合点がいく感じ。
後々考えると西瓜は愛の象徴だとするとそのまま食べるとベタベタするしタネとか面倒臭いし映画の通りアリも集う、つまりは愛情を求めるくせしてその周辺の面倒臭い事は嫌だということ。
西瓜ジュースってのは愛の面倒臭い部分を取り除いた物の象徴なんじゃないか。
そしてその西瓜ジュースを窓から捨てるということは主人公の男にとってはその女性からそういう物は求めていないという事になる。
いわゆる愛の面倒臭さまで含まれた物を欲しがっている。
でもそこに向き合うのは時間がかかると。
それを乗り越えついにあのラストへ。
という解釈を僕はしました。
でも色々推測はされうる余地はあると思うのでそういう意味では楽しめる作品ではないかと思いました。