あまのうずめ

トニー滝谷のあまのうずめのレビュー・感想・評価

トニー滝谷(2004年製作の映画)
3.7
トニー滝谷の父滝谷省三郎はジャズミュージシャンで懇意のアメリカ将校のファーストネームから命名された。イラストレーターとなったトニー滝谷は担当で15歳下の女性英子に恋し結婚する。英子は服を着るために生まれてきた様な人だった。


▶︎ナレーションがtoo much な感もしたが、村上春樹の原作の世界を醸していた気もする。ナレーション担当が西島秀俊で、この作品のテーマ一つも『ドライブ・マイ・カー』に通じていて縁を感じた。

儚い英子が宮沢りえにピッタリで、イッセー尾形と併せベストキャスティング。複数あるセットの抜けている部分に眼を奪われていたが、それは単に製作費不足だと後で知り別の意味で納得したが功を奏している。
音楽は坂本龍一がその場で映像を観て付けたそうで、マイルス・デイヴィスの『死刑台のエレベーター』の方式。

極端に色調を抑えた映像も印象的で、当時からアートフィルムとしての評価が高かったのも納得の作品だった。