いののん

ストレイト・ストーリーのいののんのレビュー・感想・評価

ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)
4.0
JOKERを観て、数日経ったら、この作品。アリだと思います。(と言いつつ私が観たのは先月です。笑)デヴィッド・リンチだって、このような映画を作るんです。どうだ、凄いだろう!笑(←注:この笑いは、JOKERの笑いとは違います!)


実話に基づいた話、とのこと。時速8kmの芝刈り機での旅。行程500km。旅するのは、70代のおじいちゃん。もう杖なしで歩くこともおぼつかないのに。腕の良い職人さんよろしく、工夫を重ねて、芝刈り機を、旅する車に改良。長い間、会っていなかったお兄さんに会うために。病気で倒れたお兄さんの元に、どうしても、たどり着きたい。どうしても、間に合いたい。


私は、主役のリチャード・ファーンズワースさんは存じ上げなかったのですが、この映画は「ラッキー」と繋がっているように感じて、そのことも、グッとくる気持ちに拍車をかけました。ハリー・ディーン・スタントンと、デヴィッド・リンチ。戦時中のことを語る姿も、「ラッキー」と繋がっていて。ゆっくりと進む旅に、ラッキーでの亀くんのことも思い出しました。


1本の小枝は簡単に折られちゃうけど、束ねた小枝なら折られない。戦国武将から聞いたことがあるお話でしたが、それはそれで構いません。おじいちゃんから語られたら、それは、おじいちゃんからの有難いお話のひとつです。


出逢った人はそれぞれ、おじいさんとの出会いから、大事なものを受け取っただろうと思います。きっとあとになっても、ふと思い出し、あの時あんな出会いがあって、あんな不思議なおじいさんがいて、って、そうして心があたたかくなることでしょう。多分、観ている私も、同じです。


満天の星の下で、この映画の上映会があったらいいな-。寒くなってゆく季節のなかで、たき火で暖まりながら、ブランケットに包まれながら、見上げて観たい映画です。そこに集まった人たちと、思いを分け合いたくなる映画です。
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