mitakosama

陽炎のmitakosamaのレビュー・感想・評価

陽炎(1991年製作の映画)
2.9
スカパーにて。五社英雄後期の作品だが、正直言って鬼龍院花子ほどのインパクトは無かったな。
やはり宮尾登美子の原作小説があった鬼龍院は、れっきとした“文芸作品”だが、今作には文学製が欠落してる。完全に60〜70年代の任侠映画の亜流である女博徒のオマージュでしかない。

江波杏子の女賭博師シリーズの“昇り流のお銀”
藤純子の緋牡丹博徒シリーズの"緋牡丹のお竜"

これを樋口可奈子で再現したのだろう。
だがお陰で鬼龍院での革新性は無くなり、むしろ20年前に逆行したかのようだ。

昭和の熊本の料亭に拾われ育ったリン(樋口)
女ながら胴士になり自立したが、義弟(本木)がだらしなくヤクザ(白竜)に料亭を奪われてしまう。
父の仇である同士常太郎(仲代)がヤクザ側にいる。
リンは常太郎と花束で対決し勝利。ヤクザはリンらを狙い、義弟とその恋人が殺される。
怒り心頭のリンはダイナマイト片手に殴り込み。

樋口可南子が不知火おりんって異名を持つのも江波や藤のオマージュでしょう。このセンスって五社なのかな?それともプロデューサーの奥山かな?なんとなく奥山の気がするけど…

やはり90年代において20年前のプログラムピクチャーを真似しただけでそれ以上のものがそんなに無かった気がする。それに親の仇である常太郎がリンを助け、リンもその愛情に応えるってのもなんだかよく判らない。

樋口・かたせ・荻野目が脱いでるのがまぁ見所だが、それ以上に料亭で行われてたレズビアンショーのシーンの方がインパクトある。
mitakosama

mitakosama