昭和初期の熊本の花街を舞台に女胴師の生き様を描いた任侠アクション。
五社英雄が監督を務め、樋口可南子が主演、仲代達矢、荻野目慶子、本木雅弘、かたせ梨乃、岩下志麻、竹中直人、丹波哲郎、北村和夫、川地民夫、夏八木勲、緒形拳らが共演。
背中に菩薩の刺青をした女胴師の城島おりん(樋口可南子)。彼女は幼い時、青い不動明王の刺青を背中に掘った胴師(仲代達矢)によって、イカサマ賭博をした父親が目の前で殺される。生みの親も知らない彼女は、通りがかりの熊本二本木で料亭・八雲を営む夫婦に引き取られる。養親亡き後、義弟の市太郎(本木雅弘)が料亭を引き継ぐが、賭博で負けて岩船一家に料亭を取られていた。昭和三年の夏、おりんが汽車から大阪駅に降り立つと、博打で負けて三百円の借金を踏み倒して逃げ回る市太郎と偶然再会する。おりんは後見の難波政組に借金を立て替えてもらい、市太郎と二人で久しぶりに熊本に帰ってくる。ちょうど岩船一家が花会を開くことになっており、難波政が後見となりおりんが胴師を務めることになる。相手の岩船一家の後見の胴師は、父を殺した男だった。トリの勝負は二人の一騎打ち。天井知らずの賭け勝負で、二人の因縁の対決が始まる‥‥
「渡世未熟もんですが宜しゅうお頼い申します」
オープニングは不知火おりんの異名を持つ女胴師りんの仁義を切るシーンで始まる。
りんの数奇な人生を経て父を殺した男と再会する。
ラスト15分では、爆破により炎に包まれ崩れ落ちる屋敷で、喪服姿の樋口可南子が拳銃と刀で大立ち回りを繰り広げ、赤い照明が炎のクライマックスを盛り上げる。
女賭博師の生き様にふさわしい圧巻のシーンを満喫できる。
「最期の勝負もお前の勝ちだな」
「オレは漢として死に 花だけは咲かせた」
「どうでもよいヤツばかりが生き残る こんなことでいいのかよ こんなことで」
最後に樋口可南子の捨て台詞が切なくも悲哀に響き渡る。
「往生しなっせ」
2025.1 BS松竹東急で鑑賞(土曜ゴールデンシアター)
第15回 日本アカデミー賞で主演女優賞(樋口可南子)、助演女優賞(荻野目慶子)、音楽賞(佐藤勝)(1992年)