ゴン吉

馬鹿が戦車(タンク)でやって来るのゴン吉のレビュー・感想・評価

3.9
村社会における貧しい暴れん坊の悲喜劇を通して世相を描いたヒューマンコメディドラマ。 
山田洋次が監督と脚本を担当し、ハナ肇が主演、岩下志麻がヒロインを演じ、犬塚弘、飯田蝶子、小沢昭一、花沢徳衛、松村達雄、谷啓、東野英治郎らが共演。

海が近い日永村は数年前にバス路線も廃止された田舎。村いちばんの貧乏者で荒くれ者のサブ(ハナ肇)は、元少年戦車兵で、自分は鳥だと思い込んでいる知的障害をもった弟(犬塚弘)や耳の遠い母親(飯田蝶子)と三人であばら家で暮らしてた。そんなサブは幼馴染の紀子(岩下志麻)と仲が良かったが、彼女は長い間病床に伏せていたが回復し、床上げの祝宴を開くことになる。サブは紀子に誘われて祝宴会場に出向くが、主催者の地元実力者である父親に無下に追い返される。サブは怒って村中を暴れ回り、警察に捕まってしまう。釈放されたサブは納屋に隠していた戦車を乗り回して村中を壊し回る…  

ハナ肇が貧しい暴れん坊を好演し、若い岩下志麻がとても可愛い。
当時の村社会の縮図を描いているのであろうか。
周囲から厄介者として蔑まされていた主人公が、幼馴染の床上げ祝に出席するために、貧しいながらも床屋に行ったり破れたスーツを着て会いに行く姿が微笑ましい。
そんな主人公が差別的な対応を受け、ぶちぎれて村中で大暴れ。
最後は戦車までもが登場してドタバタ劇を繰り広げる。
戦車が通った後には村と町を直線で結ぶ道ができ、何事も無かったかのように医者と幼馴染の二人がその道を通って村から町に向かう姿が哀愁を誘う。 

2025.3 BS松竹東急で鑑賞(よる8銀座シネマ)
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