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ヤンヤン 夏の想い出のmoonのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.5
「映画は人生を3倍にしてくれるんだ」
あまりにも傑作、この3時間の中に人生が詰まってた。

初めての恋、失恋、理不尽を経験する10代
仕事や結婚で浮き沈みの激しい20〜30代
家庭と仕事に恵まれたはずなのにどこか空虚な毎日を送る40〜50代
病に倒れる70〜80代
家族を直撃する人生の変化や戸惑いを、目の当たりにした幼いヤンヤンは何を感じるのか。

倒れて寝たきりになった祖母に話すことがない、毎日が空っぽだと泣き出す妻。
プールで泳ぐ同級生。雷のような衝撃を受け、思春期に突入するヤンヤン。
かつての恋人と歩く東京、ビル街の夜景、止まっていた時間が動き出す熱海旅行。
若い恋人たちが出会うあの高架下…
35フィルムに焼きついた台湾と日本の風景、突然訪れる再会と別れが尊くて何度も泣いた。

これだけ大人数が登場する群像劇なのに破綻せず綺麗にまとまっていて、エドワード・ヤンの手腕を改めて思い知った。
多分何歳で見ても心に染みるし、10年後に見返したらまた別の登場人物に感情移入するんだろうと思える。唯一無二の濃密な映画体験だった
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