うかりシネマ

プロメテウスのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

プロメテウス(2012年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

近未来、3万年前の壁画から人類が人類の創造主“エンジニア”と接触していたことが判明し、エンジニアの実在を確かめるべく宇宙船「プロメテウス号」は別銀河の惑星へ行く。
エイリアンシリーズの五作目で『エイリアン』の前日譚。

エイリアンが登場してからはホラー調で面白いが、全体的に悪事の通りがよすぎだし、登場人物は馬鹿すぎる。
未知の惑星でヘルメットを脱ぐのはエクスキューズがあるしいいとしても、無駄な別行動をしたり自分が助かるために宇宙服が壊れるほどの砂嵐に仲間を巻き込んだりと、ストーリーの都合やそうでない場合でもずっと頭が悪い。
終盤では人類の起源やエイリアンの正体についての解明に触れかけるが、ホラーの道を選んでしまう。ホラーは未知に恐怖するが、SFは解明することに面白さが生まれる。プリクエルである本作はSFであるべきだが、全体のトーンに引っ張られてホラーのまま、決着から逃げてしまう。ある種、前日譚としての価値がなくなってしまった。
ラストは「エンジニアを求めたこの旅が無駄足だったらどうするか」という問いかけがなされるが、単純な英雄的自己犠牲に落ち着いてしまう。理解はできるし主人公の選択も悪くないが、感情は動かない。

エイリアンの設定が『エイリアン3』のニューボーンと矛盾していたり、『エイリアン』の宇宙船にも微妙に繋がらないし、接続を緻密に計算して一切の矛盾なく作れなければ前日譚としての意味はない。
SFとしてはクルーが馬鹿で、問答も弱く、謎は解明されないまま終わる。ホラーとしては面白いが、「エイリアンシリーズでホラーを楽しみたい」という需要にしか応えない。
聖書のモチーフ(蛇や十字架で分かりやすいが)、父と子と代替わり、(前シリーズから引き継いで)女性性みたいなテーゼはあるが、あったところで……という感じ。