ジャクト

クレイマー、クレイマーのジャクトのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.3
主人公は家庭を顧みないビジネスマン。ある日、そんな夫に不満が爆発した妻が家を飛び出し、後には主人公と7歳の息子だけが残される。主人公は息子の不慣れな世話を始めるが……といった内容。

ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープ、そして息子役の演技が素晴らしい。主人公と息子が徐々に絆を深めていく様子が微笑ましく、家庭が崩壊したことで主人公は初めて家族を顧みるようになった、という皮肉さがよく効いていた。

息子の犠牲は確かにあったのだが、妻が家出しなければ主人公は仕事以外目に入らなかったのではないかと思うし、妻は妻で我慢の限界を迎えて家出以上の不幸な結末もあったのではないかと考えると、家庭の崩壊という凶事はありつつも、そのなかで各自の幸せを得られたのは最善だったのだと感じた。

裁判のシーンは迫力があり、妻が家出した理由や、主人公と友人の関係性が後々明らかになる構成も巧みだった。また、派手な音楽や演出はあまり使われておらず、昨今ありがちな過剰演出がないのも作品の雰囲気を形作っていた要因だったように思う。良い映画だった。
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