悪魔の毒々クチビル

劇場版 金色のガッシュベル!! メカバルカンの来襲の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

2.0
「バオウ・ザケルガ!!!」

清麿が魔界のマッドサイエンティストに誘拐されるお話。


「金色のガッシュ・ベル!!」の劇場版第2段となる作品。
原作のコミックは名前だけなら知っている人も多いのでは。因みにコミック版は「金色のガッシュ!!」で、アニメは何でか忘れたけどガッシュ・ベルとガッシュのフルネーム表記になっています。

ざっくりした世界観は、魔界で1000年に一度王を決める戦いが行われ、その候補となる100人の魔物の子ども達が人間界に送り込まれパートナーとなる人間を探し、最後の1人になるまで戦うお話です。
その戦いで出会った天才中学生の高嶺清麿と魔物のガッシュ・ベル、このコンビが主人公ですね。
魔界では自分で呪文を使えますが人間界に送り込まれた魔物の子ども達は各々本を持っており、パートナーの人間だけがその本に描かれた呪文を読む事が出来、戦闘で本を燃やされてしまうと魔界に強制送還されます。

さてこの「金色のガッシュ!!」、個人的には1、2を争うくらい好きな漫画でして、もう最近漫画を読むこと自体殆ど無かったんですけど去年開催された原画展にも行ったくらいには今でも大好きな作品です。
取り敢えず一番好きなゼオンのアクリルスタンドと、ブラゴとシェリーの作中屈指の名シーンの複製原画なんかを買いましたよ。
そう言えば初めて泣いた漫画もこれな気がする。
まぁ少なくとも当時立ち読み中にキャンチョメとフォルゴレの別れのシーンを読んじゃったから、普通に立ち読みで泣いちゃったよね。

そんな訳で原作は大好きなんだけど、今作に関してはね、クソつまらなかったです。
そう言えばアニメ版もファウード編で原作に追い付いちゃって、凄い適当に終わっちゃったし。
ただ劇場版の今作は今に至るまで観てなかったなってことで、一応観てみたんだけど……

当時の主題歌とかガッシュ達の声とか懐かしいなって気持ちはあれど、原作とは無関係なオリジナル脚本なのと内容の薄さも相まって凄い退屈でした。
ウマゴンが「ディオエムル・シュドルク」使っていたり、ガッシュが本来なら「ザグルゼム」で強化しないと変化しない筈の強化バオウを撃っていたりと原作がファウード編やっていた頃に公開されたんだろうけど、当時の俺が観ても多分楽しめなかったと思います。
ただ最近この手の作風のアニメも全然観ていなかったから、アニメ風に合わせて製作されたギャグシーンや感動シーンがちょっと受け付けなくなっているのはあるかと思う。

未来の魔界から来たドクターM2とやらが清麿を拐う理由も、「いや他にもっと実用的な機械見つからんかったんかい」とは思いますし、メカバルカンに至ってはモロに「ラピュタ」のあのロボットじゃないですか。
ティオに花あげるくだりは構図がまんまで、まさかこのシリーズにジブリパロディが観られるとは。

戦闘もかなりイマイチで、ガッシュに至っては一機のメカバルカンと友達になっていたからとは言え、「ザケル」と「ザケルガ」一発ずつしか使っていないのは流石に物足りな過ぎるでしょ。
あの状況だったら清麿は肉体強化呪文の「ラウザルク」を絶対使うべき、と言うか本来なら使う筈。
終盤の巨大メカバルカンも、素手でティオの「マ・セシルド」を握り潰せるのに何故か「セウシル」は壊すの時間掛かるのはどういう事なのよ。
あと清麿が「サイフォジオ」を「回復の剣」って言っていたのも違和感しかない。
まぁフォルゴレが心の力を溜めて「ディカポルク」をより巨大にするって言うのは唯一面白味がありました。

あと終盤に戦闘じゃない場面で「バオウ・ザケルガ」撃つんだけど、やっぱアニメ版でも覚醒した真のバオウが観てみたかったなぁと思いました。思い返せばゼオンとデュフォーの扱いも酷かったなぁ。

そもそも呪文2回しか使っていないから、まだバオウ撃てる程心の力溜まって無くね?とかガッシュってマントの下いつも素っ裸じゃない?とか恐らくこう言うオリジナルストーリーものならよくある原作との違和感が満載の内容でござんした。

多分ガッシュ知らない人からしたら知らない用語ばかりでさっぱりな内容だったと思うけど、取り敢えずガッシュ興味ある人もこれは観なくて良いです。原作読んでください。

因みに去年から15年越しに待望の続編「今作のガッシュ2!!」が連載されめっちゃびっくりしたのですが、これがまた超面白くて今唯一毎月の連載を心待ちにしている漫画です。
もうね、清麿とガッシュの10数年振りの再会シーンとかシチュエーションが最高過ぎてぶち上がりながら泣いたよね。
「第一の術…ザケル!!!」