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百万円と苦虫女のNMのレビュー・感想・評価

百万円と苦虫女(2008年製作の映画)
3.8
普通の人も、こんなにも簡単に前科がついてしまうことがある。

主人公・鈴子は、不良少女でもキレやすい若者でもなんでもないどこにでもいる普通の女性。
だがその代償はとても重い。

自分のことを誰も知らない町に行くのは、逃避ではあるけれど、冒険の要素もある。
もとの人間関係からは解放されるが、新たな町ではまた構築し直さなくてはならない。

逃げてもいるつもりかもしれないが、無意識のうちに、挑戦してもいる。
実際、その土地その土地で、様々な苦労もする。

ところで地方の閉鎖的な社会を描く際よくあるが、どこか特定の地方を設定してしまうと、多少なりともそこの人たちのイメージが悪くなる、モデルにされた人たちが嫌な思いをする、ということはぜひ映画製作の際には忘れないで頂きたいところ。

弟も苦境に立っていたが、彼は姉以上に、もっと真っ向勝負を挑んだ。
何もそこまで、とも思う。逃げたほうがいいよ、と。
普通、過酷な虐めを受けたら、萎縮して思考停止になり、逃げること、避けることを考えると思う。

そこで最終的にこんな決断ができるなんてただものではない子だ。
頭も良い上に、精神まで強いとは。

最後は二人とも勇気ある決断をした。

最後の町で、あのしっかりした大学生があんな失敗が目に見えるような
安易な作戦を実行したのには、なにか別の思いでもあったのだろうか?

ラストは、タイミングがあとほんの少し違っていたら……?と思わずにはいられない。結果は同じだとしても。

原作も読んでみたい。
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