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ベン・ハーのNMのネタバレレビュー・内容・結末

ベン・ハー(1925年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

何度も映画化されているベン・ハーの、初期にヒットした作品。
とても面白くてサイレント映画のイメージが変わった。
かなりテンポよく進むし、テキストは最小限なので字幕を読むのも疲れない。
スターウォーズにもインスピレーションを与えたという有名なレースのシーンのほか地震のシーンなどもシンプルなのに迫力満点。
副題にA Tale of the Christ とはあるがあくまで主役はベン・ハー。

いわゆる貫通の女のシーンがあり、一人の女に向かって大勢が石を投げる様子というのはこんなにもむごいものかと実感できた。映像の力を感じる。
男たちが去っていくシーンは個人的に、我が身を省みて手が止まった人々がぽつぽつと去っていった感じだと思っていたが、本作のようにただ集団心理で騒いでいたところに突然現れた噂のイエスが放つ独特の雰囲気に気圧されてその場を離れた、という感じもリアリティがあると感じた。


あらすじメモ
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次々と領地を拡大し、強大な権力をほこるローマ帝国。
イスラエルに住むユダヤ人ベン・ハーも、圧政に苦しむ一人。
ローマ兵たちが大きな顔をし、自分の育った町で道を歩くだけで侮辱を受ける。

ユダヤ人のハー家はもとは何世紀にもわたる名家。
だが今は父も亡くなり、母はローマ帝国から財産をどうやって守るか思案する日々。一家に仕える優秀な奴隷サイモデスが財産管理の計画を立ててくれた。
一家には長男ジュダ・ベン・ハーと妹のティルザ。
ジュダには一目で惹かれた想い人エスターがいる。

ジュダと兄弟同様に育った親友である、ローマ人のメッサラ。
ローマ軍に志願し出兵していたが、数年ぶりにこの地へ戻ってきた。
今や飾り羽のついた立派な鎧を身につけている。

ジュダがメッサラを見つけ声をかけると、バツの悪そうな顔をして人目につかない場所に連れ出した。
仲間たちが注目している。我々ローマ人にユダヤ人の友人などいるわけがないと。

影で再会を喜ぶ二人。そして久しぶりにベン・ハー宅に帰還。
見違えて帰ってきたメッサラを母も歓迎、美しく成長した妹のティルザもメッサラを見つめる。

だがいざメッサラと話してみると、価値観がとても強固で横柄になっていた。
敗戦したのだからユダヤ人はもっと従順になるべきだと悪気なく言ってのける。
別人のような姿に落胆。
言い争いになったが、皇帝到着を知らせるラッパが鳴りメッサラは出ていった。

大勢の兵が行進し、途中には皇帝が担がれて通っていく。
ジュダたちがその様子をハー家の窓から見物していると、寄りかかった石レンガが崩れ落ち、皇帝の頭上へ落下。

軍がハー家へなだれ込む。
そしてメッサラはジュダを指差し、こいつが石を投げるのを見たと嘘をついた。
ジュダ、そして母と妹まで連行される。

罪人とされた者たちが、砂漠を歩かされていく。
彼らを奴隷としてガレー船の漕ぎ手にするため海へ向かう。
鞭打たれ肌は避け、水すら与えられない。

ついに倒れ、神の名を呼んだジュダ。
すると目の前に水を差し出す男が現れた。彼が体に触れると不思議と再び立ち上がることができた。
力が湧き、生きる意欲を取り戻す。

3年後、ジュダは劣悪な環境のなか生き延びていた。
その復讐にかける強い意思を見て興味を持った提督アリウスは、ジュダの足かせを免除してくれた。

ジュダの商船が海賊と出くわした。たくさんの船が入り乱れて死闘を繰り広げる。
ローマ軍は数で押されていった。

海が静けさを取り戻した2日後、足かせのなかったジュダと彼が助けた提督アリウスは船の破片に乗って漂流していた。
別のローマ船に見つけられ引き上げられた二人。
アリウスは命の恩人であるジュダを奴隷の身分から解き放ち、息子として迎えることにした。

ジュダはその後馬車レースでよく好成績を残し、アリウスにも民たちにも讃えられる存在となった。
ただ母と妹は行方知れずでそれだけが気がかり。探しに行くという彼を養父アリウスは送り出してくれた。
母と妹はエルサレムの地下牢獄で放置に近い状況で監禁されていた。

アンティオキアは、東のローマといわれるほど繁栄している。
その町の郊外には、アラブ族の族長イルデリムたちのテントがあり、彼は馬車レース好きとして有名。
しかしレース前日なのに然るべき御者がいないという事態に陥っていた。

ジュダの腕前を聞きつけ御者をやってくれと頼んできた。
なんとしてもメッサラという男に勝ちたいからと聞いて、偶然にも同じ目的を持つ者として引き受けることに。

ジュダは美しいエスターに偶然再会。久しぶりだが再び意識し合う。
彼女は、ハー家に仕えていた奴隷サイモニウスの娘だった。

現在の彼はハー家の混乱のあと身分を偽ることに成功し金貸し業をしていた。
もちろんジュダを覚えていたが、私はあの奴隷であると名のれば自分はおろか娘まで奴隷身分になってしまう。
ジュダにハー家の情報を渡すことはできず、人違いのふりをした。
サイモニデスはエスターに、今の生活かジュダの奴隷かの選びなさいと託す。

レース前日、族長イルデリムたちのテントを、サイモニデス親子が訪れる。
エスターが後押しされたサイモニデスが、彼こそジュダで私はあの時の奴隷だと告白。
ハー家の財産目録を渡し、二人とも奴隷になる覚悟もしている。感謝するジュダ。

当日。
ジュダはその戻った財産を賭けにしてメッサラの前に現れレースを申し込む。
見るとその額はメッセラの全財産よりも多く思わずたじろぐが、メッサラも引けない。

大勢の観客が集まるなかレースがスタート。
各国から猛者が集まる熾烈な戦い。
メッサラが大きくリード。
やがて隣に並んできたジュダに必死で抵抗。
ジュダが一等、メッサラは落馬し大怪我。

レースが終わると、生きる目的を失ったジュダはかえって落ち込んでいた。
そのときエジプトの賢者バルタザールが、救世主が生まれたことを知らせるのを聞く。
ジュダは使命に目覚め、その希望を広めることに全てを捧げようと決心。

総督がピラトに交代。彼は明確な記録のない囚人を放出。
母と妹は牢獄を出され、皮膚病患者の集まる谷に追いやられる。
途中二人はジュダを見かけたものの、感染させてはいけないと声をかけない。
なんの情報も掴めないジュダは、もう二人はいないのだろうと諦めた。

その後エスターも二人を見つけたが、ジュダには秘密にするよう頼まれた。
エスターは、イエスが病を直せると聞き、谷へ向かい二人の手を取って連れ出す。
町へ戻るとイエスがまさにゴルゴダへと向かう道中だったが、エスターが癒やしを乞うと二人に手をかざしたちまち病が消えた。
ジュダはそれを見つけ家族とエスターは再会、抱き合って喜ぶ。

イエスは処刑されるが、彼を信じているジュダたちは絶望することなく生きていった。
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