kumo

百万円と苦虫女のkumoのネタバレレビュー・内容・結末

百万円と苦虫女(2008年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

不器用でもまっすぐ生きようとする逞しさに心が打たれた。
主人公は偏見の目で見られる度に人との関わりを絶ち、別の居場所を探しに行く。それは「逃げ」とも捉えられるけど、そもそも逃げることが絶対悪とは限らない。むしろ今の世の中、逃げる勇気を持たないといけないこともある。誰も自分を知らない場所に行きたいと一度でも思ったことがある人は少なくないはず。それを実行し続ける主人公の姿にすごく惹きつけられたし、魅力的な人生だと思った。私自身真似しようとしても恐らく出来ない生き方だろうな。
自分や世間の価値観から外れた人達の人生を安易に全否定することがいかに愚かであるかということについても考えさせられた。
弟への手紙で、誰かと長く居るためのコツは大事なことは言わないでいることなんだ、大人しく愛想笑いしてればいいと思ってた。でもいつの間にか何も言えない関係になることは不幸なことです、という言葉がありました。この言葉が映画の中で一番心に響いた。私は広く浅くの関係が苦手で、それでも現実ではそういう人間関係の必要性が高くて、いつの間にか親しい友人や恋人、家族との付き合い方も変わってきてしまっているかもしれないと気づかされました。人と向き合うことからは逃げないよう心がけてこれからの人生を生きれたらいいな。
出会うために別れるのだという言葉を思い返すとラストの展開も少し救われる面がある…けど…切ないです。胸が締め付けられました…。
最後に、拓也は人の痛みがわかる強い人間になってほしい、いやきっと絶対なると信じてます。
kumo

kumo