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バニシング・ポイントの映画観るマシーンのレビュー・感想・評価

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)
4.4
私の永遠のヒーロー、コワルスキー
また無性に観たくなってアメリカン・ニューシネマの不朽の名作を再鑑賞
この社会で行き場を失くした「地上最後の自由な魂」の死に場所を求めてデンバーからサンフランシスコへ時速200キロで爆走する
己が魂を焦がし尽くさんと不条理なまでに体制を警察を運命を、全てを振り切り走って走って走って走って……そして魂の限界を、現実の限界を悟った彼はバリケードの隙間から漏れる光に魂のバニシング・ポイント(消失点)を見出した


今回何度目かの再鑑賞をしてみてふと思ったんだけど、最後彼が死を決意したのって結構刹那的なものだったんじゃないか?
終盤の方で賭けの相手に生存を前提とした内容の電話をかけてるんだよね。だから人生に意義を感じられない彼はあくまで犯罪とか細かいことはどうでもよく賭けたからには間に合わせたかっただけじゃないかとも感じた。
でも権力に社会に失望した過去を思いながら爆走するうちに、このスピードのうちに魂の出口を見つけ出そうとしたのも事実だろう。
賭けに間に合わせることと現実に迎合することは両立しなくて、その矛盾の先に自分の魂のバニシング・ポイントを見出したその刹那に彼は死を願ったんだと思う。
彼が何を証明したかったのか、或いは何かを証明したいとも考えてなかったのか。我々には何も分からないままだけど、ただ一つ言えることは、「地上最後の自由な魂」の死に場所を、バニシング・ポイントを見つけた彼は最後に笑って燃え尽きたということ。

アメリカン・ニューシネマ特有の独特な雰囲気を纏っていて、最後の余韻は強烈です
コワルスキーの魂の自由を求める姿に心が熱くなる不朽の名作アメリカン・ニューシネマ