matchypotter

アリス・イン・ワンダーランドのmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.4
ティムバートン、アリス。

色彩がとても豊か。
あの猫とか、ダークだけどビビットなブルーのラインが入ってたり、アリスのドレスも白黒トーンの中に赤を入れたり。
赤の女王のヘレナボナムカーターは完全赤1色の中に青のアイライン、白の女王のアンハサウェイは完全白1色の中に黒に近い口紅、モノトーンでキメたジョニーデップもオレンジの髪。

基本的にカラフルなんだけど、どちらかと言うと、緑や黒など自然な色彩をダークに描きながら、花びらとか、人物とかに挿し色を使いまくってゴリゴリのドギツイ派手派手とはまた少し違うビビットに要所要所のポイントを際立たせてる。ただ、際立たせ過ぎて結局一周周ってカラフルに、と。

ティムバートンワールドは全体的にダークファンタジーで微妙に王道から外してくる異端のキャラがいたり、何かちょっと受け付け難い世界観。それは健在。
健在なんだけど、今回はアリス。話は超王道の童話ファンタジー。だから、ティムバートン色を存分に出してもそこそこ付いていけるし、ベースを知ってるから多少は外してきてもそれはそれで味として受け止められる。
何と言うか、昔からの名曲だから違う人が少し違う歌い方しても名曲だし、その人も歌が上手いからそれはそれで、となる感じ?かなー。

しかも、割と話がコンパクト。結構淡々と最後のジャバウォックまで行く。
それはそれでもっと紆余曲折が欲しかった気もしないでもないが、あまり散らかさずに、2時間以内でサーーっと収めてると言えるので、ホントに絵本をパラパラ読み進めてる印象を受ける。

これは、夢だ夢だ、と。
現実に帰れば敷かれたレールがあり、そのレールに乗れと、悪いレールではないだろ、と、さも当たり前のように周りが手ぐすね引いて待ってる。

実はこの世界は夢でもないけども、現実から逃れた先の世界で、現実からなんだかんだで不思議な世界に迷い込み、そっちはそっちで色々あって最後までたどり着いたけども、そこで見た決着とそれまでの過程で、現実の当たり前のような出来事に疑問を抱いていたことに、ついに行動をする。

不思議な世界の、不思議な体験が、現実に帰ってくる。いたいけな少女が子供から大人へと階段を駆け上がる中で、自分探しをして、ふと色んなことに気付いて成長する。

そんな、童話の良さみたいなのはしっかりある。
matchypotter

matchypotter