青山

ケスの青山のレビュー・感想・評価

ケス(1969年製作の映画)
3.7

友達も少なく学校の先生はゴミで家は母子家庭で粗暴な兄にはいじめられと、鬱屈した日々を過ごす少年キャスパーが、ある日捕まえてきたタカをケスと名付けて育て始めるっていうお話。


なんかこう、大きな悲劇が起きるわけでもないけどとても楽しいこともなく未来への希望もないという、主人公の淡々とした絶望的な日々が描かれていく映画です。

そう、とにかく淡々としてるんですが、しかし兄や教師の理不尽さと、それと正反対に一時的にしろ開放感のあるケスとの戯れのシーンの対比が鮮やかなので、観ていて飽きませんでした。
しかし当然、なんにしろこんな日々から逃れるすべもなく最後まで淡々としたつらさを纏って終わるのが印象的。

唯一救いと言えそうなのが、彼のことを気にかけてくれる先生の存在。
どうか、少年が真っ当な大人になって「あの先生はいいやつだったなぁ」なんてたまに思い出して、こんな酷い日々でも懐かしくなるくらいに幸せな人生を送っていてくれていたら......と思います。
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