ニタ

バベットの晩餐会のニタのレビュー・感想・評価

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)
3.9
大好きなフォロイーさんがご覧になっていたので観に行きました。
ひっさしぶりのゴゼジュー。とても贅沢な時間になりました✨

"イニシェリン島"の時に見たような冷涼な村里。
回想シーンでは一定の賑わいがあったようだが、話の中心になる姉妹が年老いてからは、活気も人々の信仰心も先細ってゆく。
若い時の姉妹→初老の姉妹の女優さんが、凄くいい感じ。絵面的に納得。よく似せているということはもちろん、倹しい暮らしぶりを身体に染み込ませたような、抑制のきいた品のある姿(姿勢がいいの見習いたい!)。景色に溶け込む振る舞いが素敵でした。

人生において誰かと一緒になったり、大きな仕事のチャンスを見送ったり…姉妹の歩む人生は父の意向によるところも大きかったものの、"決断"の意味を考えさせられる。

パパンが次女の手を取り、身体を近づけて歌唱するシーンは、本作の中では抵抗できずに押し倒されるに等しい激しさに感じた(ドキドキしたの私だけ?)。
歌のレッスンを父を通して断る時点では、既に次女は全てをパパンに奪われていたものと思う。

バベットが諸事情のもとにやって来て…。
暮らしに少し余裕ができる過程はちょっと「ん?」と思いましたが(お店でケチる以外はどうやって?とかつい現実的なことを考えてしまい😅)…その後バベットに訪れた幸運→晩餐会…と物語の核へ。

晩餐会の豪華な仏料理がもたらす時間は、ぎこちなさを経て徐々に温かいものへ変わってゆく。
素晴らしい食事の効能と共に感じるのは人との縁。
あの食事の場にかつて長女と気持ちを交わしていた将軍がいなければ…次女との関わりがあったパパンがバベットを遣わさなければ…どれが欠けても成り立たなかった温もりのあるひととき。
ハレルヤおじいちゃんの一語(金言!)は、自然に笑顔にさせてくれました。


朝日に光る蹄鉄、葦毛馬の軽やかな走り、並べられた優雅なグラスや皿、まだ全然動いてる亀!!見落としたら勿体ないシーンがたくさんでした。

なかなか帰れそうもない小舟のパパン笑った~w
ニタ

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