逃げるし恥だし役立たず

明日なき追撃の逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

明日なき追撃(1975年製作の映画)
4.0
名誉と栄光のために無法者を始末する連邦保安官ナイチンゲール(カーク・ダグラス)と其の真実を暴こうとする盗賊ジャック・ストロホーン(ブルース・ダーン)との対決を描く異色西部劇。もう一度観たいと思える秀作。
雄大な自然に騎馬隊の映像、西部の埃っぽい田舎町のセットに迫力あるガンアクションは正に西部劇であるが、不器用と真面目を前面に出した説得力と安定感がある西部劇特有の主人公は存在せず、虚栄心が強く偽善的な保安官が一人のアウトローにより自らの権勢欲を露呈して失墜するまでを描くハードボイルドでありニューシネマ・ウエスタン。鉄道により新時代を迎える西部の田舎町が舞台で政治的野心を燃やす連邦保安官ナイチンゲールが精鋭の五人の部下を引き連れ各地に出没する無法者達を殲滅した功績から人気と地位を不動にするが、功名心から田舎町テソタで悪名高い無法者ストロホーンを捕らえてから一転、冷静かつ明敏なストロホーンを前に偉大なる連邦保安官ナイチンゲールに危機が迫る。
ナイチンゲールが破滅していく後半の展開、ストロホーンとナイチンゲール率いる精鋭の五人の部下とのラストが面白く、体制側の人間の虚栄心や傲慢と慢心の愚かさをシニカルに描いた隠れた名作である。