最初から最後までハラハラしっ放しだった。
ラッセル・クロウがいつも演じる超人ではなく普通の市井の人という設定があっていた。
真面目に生きてきた小市民がやむをえず犯罪に手を染める。
高校生が万引きに手を染めるかのような、小さな犯罪の積み重ね。そんな小さなことでも演出が巧で十分引き込まれる。刑務所で初めて自分が作ったカギを試すシークエンスはとても緊張感があった。
しかしこの映画、従来のハリウッドの作りとは一線を画す。普通だったらこうなるだろうという流れを最後に見事に裏切られた。とうとう自分のエンディングも予想通りになることなく終ってしまったのだ。
高速道路でグルグル回るシーンも笑えるようで感動させられた。
しかしポール・ハギスというのはくせ者で一筋縄ではいかない。『クラッシュ』ではちょっとコンセプトが真面目でどうも受け入れがたかったが、こんなひねくれた快作を作ってしまうとは、いやお見事。