安堵霊タラコフスキー

シークレット・サンシャインの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.3
イ・チャンドンがまたもやカンヌで賞を獲得しそうということで、スルーしていたこの作品をようやく鑑賞。

オアシス同様撮り方は長回しが多いとはいえそんな好みじゃないのに、最初に家で消えたと思った子供がひょっこり姿をあらわすシーンや美容室でチョン・ドヨンが自身への不平を聞くシーン等面白味のある演出が序盤から続くから、話があまり展開しないにもかかわらず見ていられ、こういう抜け目無さがイ・チャンドンの良いところだと改めて唸った。

そして本題に入る前からこれなので、話が本筋に突入してからは一層見応えのあるものになっていて、がっつり宗教を皮肉るのは少し予想外だったけど日本では諸事情で描き難い描写が見られたのでその点も悪くはなかった。

カンヌで女優賞を受賞したチョン・ドヨンも、ちょっと変わった性格の母親を演じているのだけど子供が誘拐されたときの手や声の震え具合とか真に迫っており、こういう感情の起伏を見事に表現したからこその韓国人初の女優賞獲得となったのだなと合点がいった。

人の良いキャラのソン・ガンホも魅力的だったし、長回し撮影に則った面白い描写や演出も色々あったから2時間以上の尺でも怠くなることなくあっという間に感じられたから、つくづくイ・チャンドンの構築する世界観の見事さに感心するばかり。

しかし途中ここから始まるマイレボリューション的なシーンがあったけど、やはりあの新興宗教って韓国由来なんだろうか。