石田たもん

THE WAVE ウェイヴの石田たもんのレビュー・感想・評価

THE WAVE ウェイヴ(2008年製作の映画)
4.0
面白いが笑えない怖さがある

ドイツの高校で独裁について実習形式で学ぶ生徒達。
当初は生徒達は独裁に否定的で懐疑的であったにもかかわらず、僅か数日にして独裁者を振る舞う先生に付き従い、率先してクラス内での規律を作り、その活動を校外までに拡げることになる。
自由ではなく、規律に依る縛りを求め、従わない者には敵意を見せるまでになる。
ただ彼らは独裁を心から容認している訳ではなく、「皆と団結したい」、「皆と楽しく何かをしたい」という思いがあるだけのこと。
しかし、この思いこそが史実における独裁のスタートだったのかなと思ってしまう。

この映画の怖い所は事実を基にしている点。
日本でも起こり得ることだと思わせるし、映画の原作者と監督も「現代でも起こり得ること」と語っていた。
原作者(元教師)の、「これまでの授業は生徒達のために自由を与えていたが、規律を作り縛りを作ったら生徒達は皆優秀になった」との言葉には考えさせられた。
石田たもん

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