カオリ

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつるのカオリのレビュー・感想・評価

4.5
子連れ狼 劇場版シリーズ 1/6
公開:1972/1/15 監督:三隅研次

いつかスクリーンで観たいと思っていたシリーズ
新文芸坐さん、子連れ狼祭の開催ありがとうございました!
いまだ海外でも上映すると立ち見が出るほどの人気だそうですが、本国でも大人気でした。

一作目ということで、公儀介錯人・拝一刀が流浪の子連れ狼という刺客になるまでのいきさつが回想シーンとして語られながら、とある湯治場での暗殺ミッションを描く構成になっています。

印象に残っているシーンを。

当時まだ一歳だった息子の大五郎に、手毬を選んだら死を、刀を選んだら共に刺客道を行く…と、どちらかを選ばせる有名なシーン。
その後の大五郎の成長を思うと、なんだかもうグッとくるシーンです。
よちよちと刀を選ぶ無邪気な大ちゃん。確かに、刀を怖がったりするようでは、やっていけないですからねぇ…何気に理にかなっている。

そんな回想シーンから一転し、現在。乳母車に乗った大五郎が、手毬で遊ぶ女の子を眺める。一歳の頃を思い出してるのか何か見覚えあるな~と思っているのか。
拝一刀もそうですが、大五郎はまだ「ちゃん」とすら言わない口数の少なさなので、この表情だけってのがまたねぇ良いんですよ。

富山・拝一刀の水鷗流、対大人数での殺陣もじっくり堪能できます。
そして、大五郎のデコに鏡をくくりつけてのちょっとズルい奇策による対峙シーン。
首スポーンのブシャーっとなる、痛快スプラッターの幕開けのようなシーンは、原作の劇画タッチを思わせるような渋みがあるのに、なんだかシュールで笑える、これまた名シーンです。

今作では濡れ場もあったりするのですが、室内でいきなりモクモク湯気が立ち込める演出だったり構図だったりが、あぁ勝プロだわー!って、もう兄弟そろって楽しめているようでニマニマが止まりへん。
湯場シーンは勝新主演ものだったら乱闘になるパターンだけれども、ここは大五郎がおっぱいを求めるという、これまた名シーンに。
やっぱり大五郎の存在は大きすぎる。癒やし。えろ癒やし。可愛い。

クライマックスは乳母車を使いますが、一作目では仕込み刀くらいかな。
乳母車は、次作以降、めちゃくちゃ改造されていきます。

一作目にして、設定とキャラ描写が完璧に終わりました。

よくよく考えても、殺陣、スプラッター、復讐劇、癒やし、乳母車ギミック、、、そりゃぁ面白いでしょうよっていう要素てんこもりなんですよね。

さらに、若山富三郎×富川晶宏この狼親子が最強だと思っています。
まぁ、TV版とか他の役者さんでは見たことないんですけれど…、他を見たくないほど良いのです。
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