人間のエゴ、金への貪欲さといった汚い部分を露わにするような怪獣映画。怪獣映画の裏に潜む、生き物としての尊厳、生命の冒涜を視聴者に投げかけるような作品。
モスラが海を越えてゆったりと日本に上陸していき、大型デパートや街を押し潰しながら、のそのそと移動していく様は中々に特撮的迫力があって良かった。東京タワーをよじ登ろうとして半壊させる場面を「見たことある奴だ!」と思い思わず唸った。
成虫へと進化していく様も翅を広げて美しさを引き出すような演出も良かった。
初代ゴジラのような歩く災害的怪獣ではなく、人間の金儲けのためだけに島から連れてきた島の守り人のような存在「小美人」を連れ戻すためだけに動く生物「モスラ」であるので、人間を燃やしたり叩き潰したりするような描写はまるでなかった。
反戦を訴えかける初代ゴジラとは違い、社会情勢、生命の尊重にベクトルを向けている怪獣映画としてなかなか感心させられたし、ゴジラほど重い雰囲気はなく、ギャグも挟んでいるので良いバランスでもあった。