明石です

マイ・ルームの明石ですのレビュー・感想・評価

マイ・ルーム(1996年製作の映画)
5.0
白血病を患った叔母のドナーとなるべく彼女を訪ねるやさぐれ母子のお話。家の中に所狭しと並ぶ薬を映した個性的なオープニングショットから引き込まれた。やさぐれシングルママをメリル・ストリープが、母への反抗心から家を燃やす不良少年をディカプリオが、白血病を患うメリルの姉をダイアン・キートンが演じてる。こりゃ凄い。超豪華なんだけど、それぞれが役柄にフィットしててホーミーな雰囲気が出てるのが素敵。

ダイアン・キートンはウディアレンの映画に出てた初期の頃以来、薬と精神分析医が手放せない、意思の強そうな見かけとは裏腹に不安定な女性を演じてきた人だし、メリル・ストリープは言わずもがなスーパーウーマンだし笑。彼女の脱力感あるやさぐれ感は説得力ありすぎて、もはや自然を通り越してこれ以外の役柄が思い浮かばなくなるくらい笑。しかし姉役のダイアンとは3つしか変わらないはずなのに若いなあこの人笑。

そして精神が不安定でいつも作り話をせずにはいられないディカプリオの演技にも感服。そういえば前作が『バスケットボール・ダイアリー』で、その前が『ギルバート・グレイプ』だったはず。ハンデを抱える癖の強い役柄は(まだ二十そこそこなのに)お手のものだったわけですね。気を抜くとつい綺麗すぎる顔立ちばかりに目がいってしまうけど、ディカプリオが売れたのはそれだけが理由じゃなかったことがよくわかる。私的ディカプリオのベストムービーにランクインしそう。

そしてディカプリオと叔母のキートンが浜辺で車を走らせるシーンの美しさは作中の白眉でした。ジャケットにもなってるし、きっと忘れさせたくない一場面なんだろなと思う。何とは言いがたいけど、とても素敵な映画を見れた満足感で一杯です。しばらくこの映画の世界から出て行きたくないような不思議な感覚に包まれる。深夜にゴソゴソと起きてきて、1人でいる夜中特有のしっとりした気分で見るのに最高な映画ですね。

——好きな台詞
愛せる相手が2人もいたなんて幸せな人生だったわ
明石です

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