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ソナチネのbennoのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
5.0
北野武監督作品3作目。

沖縄の暴力団抗争に、助っ人として送り込まれた暴力団幹部、村川(たけし)。しかし抗争は益々激化…事務所を爆破された村川たちは海岸沿いの空き家へ身を隠すことに…

ストーリー構成でいったら圧倒的に『その男凶暴につき』が好きですが、今作は映像にやられました。どこかヨーロッパ映画のようで構図も素晴らしく見惚れてしまうシーンが沢山あり、音楽もとても良かったです。

そして終始付き纏う"死"の匂い…とても苦しい作品でもあります。たけし自身の死生観…死というものに向かって行く存在である人間を描いているようです。

今作のたけしはセクシーというより、ガキ大将!
沖縄という美しい景色の中、子供のように笑顔で無邪気に遊び呆けます。しかしそれも、『あんまり死ぬのを怖がるとな、死にたくなっちゃうんだよ』という台詞から、死への恐怖を忘れたいが為に、悪ふざけをしているようで、ずーっと苦しいです。

ただ、ケン(寺島進)と良二(勝村政信)のふたりのシーンはとても可笑しく、ほっこりします。

そして映像の素晴らしさ…海の美しさは言うまでもなく、朝焼けのオレンジがかった風景から、一瞬にブルーの海と空…夜中にロケット花火で遊ぶ風景…クレーン車で人物を吊り上げた時の構図…究極、エレベーターの中の銃撃シーンも美しい…

そしてラスト…たけしの男らしさにジーンとします。


Thanks to; JTK 師匠
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