KK

ソナチネのKKのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
3.9
特殊な死生観。

仲間が簡単に死んでいく。そんな中、自分だけが生き残ることになんの意味があるのか。

これはヤクザという特殊な環境下での価値観なのか、それとも北野武という人間の価値観なのか。

「あんまり死ぬのを怖がるとな、死にたくなっちゃうんだよ。」


なんかすごい真理をついている気がする。

死ぬことを恐れることは、生きることを恐れること。ということは、死を恐れなければ、生きることを恐れずに済む。

自分の思う通りに生きたいのならば、死ぬことを恐れてはならないのかもしれない。

いつ死んでもおかしくない状況のなか、彼らは全てを遊んで無邪気に遊んだ。砂浜で屈託なく笑う男たちは、完全にその瞬間を生きていた。

寺島進と勝村政信のちょうどいいチンピラ感も好きだった。初めはお互いに信用していなかったが、いつのまにか無邪気な子供のように仲良くなった。

あの絶妙な距離感はさすがだなぁ。大杉漣さんも若くて渋くてカッコいい。

「ソナチネ」は「ソナタ」の複数形?クラシック音楽のジャンルの1つみたいだけど、それを映画のタイトルにするのはなかなかすごい。

タイトルだけ聞くと、どんな作品か全く分からないけど、見た後なら、なんとなく、本当になんとなくだけどそのタイトルの意味も分かるような気がする。

北野武監督の「死」と「生」の価値観についていつか聞いてみたいと願う。
KK

KK