エクストリームマン

ウルトラQザ・ムービー 星の伝説のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

3.5
ダークマンと同じ年に公開されたと考えると感慨深い。

実相寺昭雄の興味が、サスペンス的な「物語の引き」に全くないことがよくわかる。万丈目達TTVクルーが古墳近辺で起こった連続殺人と謎の女を追う序盤の展開なら、失踪した「浜野さん」は画面に出さないのが常道だろう。そしてまた、彼は物語の「一貫したエモーション(もしくは連なって変化していくエモーション)」にも興味がないように思う。風見しんご演じる戸川一平や寺田農演じる山根報道部長の担ったコメディと、柴俊夫演じる万城目淳と高樹澪演じる謎の女(星野真弓)の間で生まれる関係性の生真面目さみたいなものの乖離は結構なものがあって、それはTTVのクルーと星野真弓、浜野両名が合流した時特に顕著になる。

あるいは、その乖離こそが、本作が扱っているテーマへの関心の温度差を表していたのかもしれない。環境問題と「信じる者は救われる」的な話を混同させるのはいかがなものかと思わなくもないけど、一平に代表されるような、聞く耳を持たない者の持たなさ加減みたいなものもまた逆方向に極端であるという実感があったなら、それはそれほど芯を外した話でもないだろうから。

特撮部分のクオリティは高く、ワダツジンの『メトロポリス』のマリアそっくりの形態(オマージュかな)で飛んでいるところとか、編集含めて迫力あったし、ワダツジンの使役する怪獣:ナギラも顔は可愛いけどちゃんとしてた。関係ないけど、実相寺昭雄は地割れ・地崩れにフェティッシュな拘りがありそう。