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あにいもうとのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

あにいもうと(1953年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

いかにも「映画」といった感じのしないさりげない脚本(もちろん誉め言葉)、さすがは水木洋子と成瀬巳喜男の名コンビといったところである。演出においても田舎の平屋の広々とした空間をたっぷりと使って引いてみれば、演者に寄って小気味良いカットバックで見せるからメリハリが聞いて楽しい。

こういうことって実際に会ったんだろうなと思わせるリアリティが確かにそこにあり、それは脚本・演出、そして何よりそれらによって支えられる演技の力もあるだろう。本作に登場する演者たちは誰もが名優で、こういう「演技」をしている感じのしない演技をできるのが本当に素晴らしい。

成瀬映画は脚本においても、演出においても、私が師とするべき存在である。否、むしろそう呼ぶのもおこがましいぐらいの存在なのだが、いずれにしても彼が残してきたような映画を自分が作れるようになれば、それ以上の喜びはないものである。
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